親の死後、実家の「仏壇」を処分することに。費用は“長男”である自分が払うものですか? 自身で処分してしまって問題ないのでしょうか? 費用もあわせて確認

配信日: 2025.10.25
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親の死後、実家の「仏壇」を処分することに。費用は“長男”である自分が払うものですか? 自身で処分してしまって問題ないのでしょうか? 費用もあわせて確認
親を見送った後、実家に残された仏壇をどう扱うか悩む人は少なくありません。処分には宗教的な手順や費用の問題が伴い、家族間で意見が分かれるケースもあります。
 
本記事では、仏壇を自分で処分しても問題ないのか、費用は誰が負担するのかについて整理していきます。仏壇処分の流れや費用相場、トラブルを防ぐための注意点を分かりやすく解説します。
諸岡拓也

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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仏壇は自分で処分してもいいの?

基本的に、仏壇は自分で処分しても問題ありません。
 
ただし、処分の方法は自分で行う以外にも複数あります。状況や希望に合わせて、次の4つの方法から選ぶとよいでしょう。
 

・自分で処分する(費用を抑えたい場合に最適)
・お寺に依頼する(供養も含めて任せたい場合)
・仏壇処分の専門業者に依頼する(安全かつ手間を省きたい場合)
・仏具店で買い替えと同時に処分を依頼する(新調と同時に整理したい場合)

 
自分で処分する場合は、各自治体が定めるごみ処理のルールを必ず確認しましょう。仏壇の素材や大きさによって、可燃ごみ・不燃ごみ・粗大ごみの扱いが異なることがあります。
 
また、どの方法を選ぶ場合でも、処分の前には閉眼供養(魂抜き)を行うのが基本です。
 

仏壇を処分する前に必要な閉眼供養(魂抜き)とは

魂抜き(たましいぬき)とは、僧侶の読経によって仏壇や位牌(いはい)に宿る魂をお送りし、感謝の気持ちを伝える儀式です。この供養を行うことで、仏壇は、ただの家具として処分できる状態になるとされています。
 
「お仏壇のはせがわ」(株式会社はせがわ)によれば、魂抜き(閉眼供養・へいげんくよう)の費用は1万円~3万円程度が目安とされています。また、僧侶を自宅に呼ぶ場合は、御車代(おくるまだい)として5000円程度を別途包むこともあります。「4」を含む金額は死を連想させるため避けるのがマナーとされています。
 
なお、浄土真宗の場合は、魂が宿るという考え方を取らないため、代わりに「遷座法要(せんざほうよう)」という儀式を行います。
 

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宗派によって異なる供養方法

一口に仏教と言っても、宗派によって仏壇の扱いや儀式の考え方は異なります。
 
文化庁がまとめた「宗教年鑑 令和6年版」によれば、日本の仏教系寺院は7万3730寺あり、最も多いのは曹洞宗の1万4446寺、次いで浄土真宗本願寺派が1万89寺です。つまり、両宗派は日本で特に信仰の広い宗派と言えます。
 
日本で最も寺院数の多い曹洞宗など多くの宗派では、仏壇や位牌に魂が宿ると考えられ、僧侶が読経して魂をお送りする「閉眼供養(魂抜き)」を行うのが一般的です。
 
一方、浄土真宗では魂が宿るという考えを取らず、代わりに「遷座法要(せんざほうよう)」という儀式を行います。遷座法要の費用は、お布施として1万円~3万円程度が目安で、内容は読経やご本尊の移動などが中心です。
 
迷ったときは、お世話になっているお寺(菩提寺)に相談し、地域や宗派に合った方法を確認して進めると安心です。
 

仏壇処分にかかる費用の安心ライン

仏壇処分にかかる費用は、仏壇の運搬・処分・供養をすべて含めて、3万円~10万円程度を見ておけば安心です。ただ実際には、仏壇のサイズ、設置条件、供養方法、お寺の距離などで大きく変動します。
 
例えば、はせがわのような仏具店では、仏壇の供養・引き取りで4万9500円~7万9200円に価格設定されています。
 
一方、自分で処分する場合、供養以外の費用は、自治体のごみ処理料金(数百円~数千円程度)だけで済むケースもあります。自治体によっては仏壇を回収対象に含まない場合があります。その場合、リサイクル業者に引き取りを依頼する方法もあります。
 

費用は誰が負担すべき? 長男だけが支払う義務はない

仏壇の処分費用を誰が負担するか、法律で明確に定められているわけもなく、通常は、相続人や家族の話し合いで決めます。「長男だから」という理由で一方的に負担を求めるのは妥当とは言えません。
 
一方で、葬儀費用は喪主が支払うことが多く、喪主を務めるのが長男という家庭も少なくありません。そのため、「長男=喪主=仏壇の処分費用も長男が負担」と考えられる場合もあるようです。
 
しかし、これは法律による義務ではなく、あくまで慣習です。費用は家族や相続人で分担しても問題ありません。
 

円満に進めるためのポイント

仏壇処分は、故人への最後の礼として扱うべき儀式です。自分で処分する方法もありますが、宗派や地域の慣習によって対応が異なるため、事前に僧侶や業者へ相談しておくと安心です。費用負担についても、早めに家族で話し合い、全員が納得できる形を相談しておくと安心です。
 

出典

文化庁 宗教年鑑 令和6年版
 
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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