夫婦でコツコツ貯めた“300万円”の「タンス預金」。銀行口座に入金したら「税金」がかかる!?
しかし、タンス預金がまとまった金額になったからと銀行口座に入金する際は注意が必要です。その資金の出所によっては、税務署から「贈与」を疑われてしまう可能性も考えられるからです。こうしたケースを防ぐためにも、タンス預金と税金の関係を正しく理解しておきましょう。
本記事では、タンス預金にまつわる税金の考え方について解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
高額な「タンス預金」に出所を疑われることがある
高額なタンス預金を銀行口座に入金する行為は、税務署からその「出所」を確認される可能性があります。例えば財産を受贈した際にかかる贈与税には年間110万円の基礎控除があり、それを超える金額の財産を受け取っていた場合、課税対象となるからです。
例えば、家族や親族から過去に受け取った300万円の現金を、タンス預金として貯めていたとしましょう。税務調査で贈与と認定された場合、110万円を超える190万円の部分に対して、贈与税が課税される計算です。
タンス預金の弱点は、その現金の出所や、いつ、どのような名目で貯められたかが客観的な記録として残りにくいところにあります。銀行口座への入金とは異なり、現金の移動や蓄積の経緯を証明することが難しいのです。
もし高額なタンス預金を銀行に入金する際は、その現金が「贈与されたものではなく、自身が働いて得た収入や生活費の残りを貯めていたものである」と明確に示せるよう、家計簿や給与明細、預金履歴などの記録を準備しておくと安心です。
「タンス預金」は“節税対策”にならない
タンス預金を活用して、相続税や贈与税を免れようと考える方もいるかもしれません。しかし、タンス預金であっても税務署に把握される場合もあります。
国税庁と全国の税務署は、国税総合管理(KSK)システムを通じて、納税者の情報を一元的に管理しています。税務署はこのシステムを活用し、納税者が正しく申告・納税をしているかを日常的に調査しているのです。税務調査においては、預貯金口座のチェックも入念に行われることがあります。
特に、相続が発生した後に被相続人(亡くなった方)のタンス預金を銀行口座に入れた場合、その不自然な現金の動きから税務署に贈与や申告漏れを疑われる可能性があるでしょう。
実地調査の非違件数は「現金・預貯金」が“6割以上”を占める
国税庁が発表した「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によると、令和5年に行われた贈与税の実地調査は2847件で、申告漏れなどの非違件数は2630件に上りました。さらにそのうち、現金・預貯金などに関する件数は1824件で、全体の63.9パーセントに達しています。
申告漏れ等の非違件数の半分以上が現金・預貯金に関するものであるという事実を鑑みると、タンス預金を隠蔽しようとして申告しなかったために、税務調査で申告漏れが指摘されたケースもあるかもしれません。
まとめ
現金を手元に置いておきたい、利子があまりつかないという理由でタンス預金をしている方もいるでしょう。しかし、いざ銀行口座に入金しようとしたとき、その出所を税務署に確認されることもあります。
また贈与や相続で得た現金を無申告のままタンス預金していた場合、口座入金時に税務署に把握されるケースもあることに注意が必要です。
今回の事例は「夫婦でコツコツ貯めた300万円」です。大切なのは、その現金が贈与ではないと証明できるよう、記録に残しておくことです。貯蓄の目的を明確にし、老後への不安を軽減しましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況 3 贈与税の実地調査の状況 〇 調査事績に係る財産別⾮違件数(延件数)(5ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
















