後から亡父の「遺言書」が出てきた!“5000万円”の「遺産分割協議」は昨年完了しているのですが、相続手続きはやり直しでしょうか…?

配信日: 2025.10.31
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後から亡父の「遺言書」が出てきた!“5000万円”の「遺産分割協議」は昨年完了しているのですが、相続手続きはやり直しでしょうか…?
遺言書がない場合は遺産分割協議が必要ですが、相続手続き後に遺言書が見つかるケースもあります。後から遺言書が発見された場合、遺産分割協議が完了していてもやり直さなければならないのでしょうか。本記事では、後から遺言書が発見された場合の相続手続きや遺産分割協議のやり直しが必要なケースなどを解説します。
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後から遺言書が発見された場合は「遺産分割協議」のやり直しが原則

民法第九百八十五条には、「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」と定められています。そのため、相続人が遺言の存在を知っているかどうかにかかわらず、遺言書の効力は発揮されます。効力のある遺言書が発見された場合、遺産分割協議が行われた後でもその内容に従わなければなりません。
 
なお遺言書は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つに分けられます。自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文を手書きし、押印して作成した遺言書です。公正証書遺言とは公証役場で公証人が作成する遺言を指します。秘密証書遺言とは、遺言内容を秘密にし、その存在を公正証書の手続きで証明してもらう遺言です。
 
公正証書遺言は公証役場の遺言検索システムで把握できる仕組みがありますが、それ以外は後から見つかる恐れがあります。また、公正証書遺言以外の遺言書は家庭裁判所での検認が必要であり、勝手に開封することはできません。
 

「遺産分割協議」のやり直しが必要なその他のケース

遺言書の内容に従う場合は遺産分割協議の必要はありません。また、遺産分割協議で成立していた内容が遺言書の内容と大きく変わらない場合も改めて協議を行う必要はないようです。一方、以下のようなケースでは遺産分割協議がやり直されるでしょう。
 

・相続人全員の合意の上で遺言書とは異なる遺産分割をする
・後から新たに法定相続人が現れた
・相続人が遺言書を隠していた

 
以上が、遺産分割協議のやり直しが考えられる一例です。個別のケースでは専門家に相談することをおすすめします。また、遺産分割協議のやり直しにより相続内容が変わった場合は相続税の修正申告か更正の請求が必要になるかもしれません。
 

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「遺言書」がある場合も「遺留分」は受け取れる可能性

遺言書の効力は強力ですが、全てがそのまま適用されるわけではありません。民法第千四十二条には遺留分の定めがあり、法定相続人のうち配偶者・直系尊属・直系卑属には法定相続分の2分の1を請求する権利があります。
 
例えば、配偶者と子ども2人が相続人で遺言に「配偶者に全て相続させる」と書かれていた場合を考えます。
 
国税庁によると、子どもの法定相続分は合計2分の1で、2人以上いる場合は均等に分けなければなりません。そして遺留分はさらに2分の1となるため、それぞれ相続財産全体の8分の1の財産を請求できます。
 
掲題のように相続財産の総額が5000万円の場合、遺言の内容に従っても全体の8分の1である625万円を遺留分として請求できるかもしれません。しかし、遺言が後から見つかったというケースは例外であることに変わりないため、内々で処理せず専門家の意見を求めることをおすすめします。
 

まとめ

遺言書は相続人が存在を知っているかどうかにかかわらず効力が生じるため、遺産分割協議が行われた後でもその内容に従わなければなりません。
 
相続人が遺言書を隠していた場合や後から新たに法定相続人が現れた場合、遺産分割協議のやり直しが必要です。なお、遺言書がある場合でも遺留分は受け取れる可能性がありますが、いずれにせよ例外のケースであるため、専門家からアドバイスを受けましょう。
 

出典

デジタル庁 民法
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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