父の「遺言書」が見つかったけど、兄の方が相続割合が大きいことに納得がいかない…相続割合は変えられないの?

配信日: 2025.10.31
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父の「遺言書」が見つかったけど、兄の方が相続割合が大きいことに納得がいかない…相続割合は変えられないの?
亡くなった父の遺言書を見つけたところ、「兄が7割、私が3割」と記載されていた。そんなとき、「本当にこの割合に従わなければならないのか?」と疑問に思う人は少なくありません。
 
遺言書の内容は、基本的に法的効力を持ちますが、場合によっては見直しが可能なケースもあります。本記事では、遺言による相続割合の原則と、納得できない場合に取れる手段を解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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遺言書の内容は原則として「優先される」

民法では、被相続人(亡くなった人)の最終意思を尊重するという考え方が基本です。そのため、法律によって決められた相続分(法定相続分)よりも、遺言書に記された内容が優先されるのが原則です。
 
例えば、父親の財産が2000万円あり、相続人は子ども2人(兄と妹)だけの場合で考えてみましょう。この場合、法定相続分では子どもは全員等分とされているため、兄1000万円、妹1000万円となります。
 
とはいえ、これは遺言書など亡くなった方の意思が残されていない場合です。もし、遺言書があり、そこに「兄に7割、妹に3割」と書かれていれば、そのとおり、兄1400万円、妹600万円に分けるのが原則です。
 

重要なのは「遺言書の有効性」と「遺留分」の存在

ただし、ここで重要なのは「遺言書の有効性」と「遺留分」の存在です。遺言書があったとしても、その遺言書に何らかの不備があり無効であるなどしてしまい遺言書の有効性が否定されてしまうと、遺言書は無効となり、法定相続分ないし、当事者間で話し合って相続分を決めることになります。
 
また、もう一つ知っておくべきものに、遺留分というものもあります。遺留分とは、亡くなった人の兄弟姉妹以外の相続人に保証された最低限の相続分です。
 
参考までに、遺留分は子どもが相続人となる場合、2分の1に遺留分を請求する方の法定相続分をかけた数値になります。今回のように、子どもが2人で分け合う場合、2分の1に2分の1をかけて4分の1、金額にして500万円となるわけです。
 
すなわち、遺言書の相続割合が気に入らなければ、まず遺言書に不備がないか確認します。そして、指定された相続分が遺留分を下回っていないか確認し、どちらかに反していれば、それを主張するべきなのです。
 
主張方法としては、まず兄本人に直接主張し、話し合いでうまくいかなければ、家庭裁判所に相談するのが基本になるでしょう。
 
なお、相続人全員の合意があれば、遺言書とは異なる相続割合で相続することも可能ではあります。ただ、強制はできないことや、相続人以外に遺贈を受けている人がいるなど法的関係が複雑であると、それが不可能なこともあるため、現実的ではないでしょう。
 

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遺言書が無効となるポイントの見つけ方

一般的に、遺言書といえば手書きで書かれ、思い立ったときにいつでも作れる自筆証書遺言と呼ばれるものです。この自筆証書遺言は、無効となる場合、たいてい下記のような不備があります。


・日付、署名、本文が手書きでなされていない
・押印がない
・訂正箇所がある場合の訂正方法が訂正箇所に二重線を引き、訂正印が押されていない
・訂正がある場合、訂正箇所と変更した旨、そして署名がない

上記はあくまでよくある例であり、その他の部分で見つかる場合もあります。どうしても遺言書の内容に不満があれば、遺言書を撮影するなどして、弁護士など専門家に相談するとよいでしょう。
 
なお、自筆証書遺言以外にも、遺言書の種類はありますが、それらはどれも例外的なケースで取り扱いも異なるため、その場合も専門家に相談するほうがよいでしょう。
 

まとめ

遺言書は、亡くなった人の最終意思として基本的に優先されます。しかし、相続人全員で合意があるほか、遺言書に不備があったり、遺留分を侵害されているような場合は、相続人が異議を申し立てることも可能です。
 
そのため、今回のように「兄の取り分が多い」と感じた場合も、まずは遺言書の有効性と遺留分の有無を確認し、必要に応じて専門家や家庭裁判所に相談しましょう。
 
相続において大切なことは、「故人の意思を尊重しつつ、家族全員が納得できる形に落とし込むこと」です。それを意識して行動することが相続トラブルを防ぎ、家族円満であるために最善の道といえるでしょう。
 

出典

内閣府 政府広報オンライン 知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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