水泳を習っている孫が大会に挑戦したいと言っています。特別レッスン費と参加費のあわせて「10万円」を出してあげたいのですが、孫のためのお金なので課税されませんよね?
祖父母から孫への教育費の援助は、要件を満たせば一定額までは非課税です。ただし、習い事の大会費用が教育費に含まれるのかは、事前に確認した方がよいでしょう。
本記事では、祖父母から孫への援助で課税対象になるケースや、課税対象にならないように援助する方法をご紹介します。
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目次
孫の習い事の大会費用は課税対象になる?
個人間の贈与には贈与税がかかりますが、教育資金の一括贈与制度を利用すれば、祖父母から孫への教育費の援助が500万円まで非課税になる場合があります。国税庁によると、教育費は次のようなものです。
・入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料、学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費のように、学校などに直接支払われる金銭
・学校など以外の者に対して直接支払われる金銭で、教育を受けるために支払われるもの
学習塾やそろばん、水泳、野球などの習い事の指導者は「学校など以外の者」に該当します。
今回の事例では「孫の習い事の特別レッスン費と大会の参加費を援助したい」ということです。特別レッスン費はスイミングスクールに支払うと考えられますが、大会の参加費は誰に支払うかがポイントになるでしょう。
例えば、参加費を普段通っているスイミングスクールに支払う場合は非課税ですが、県や市町村の大会に個人で参加するなど、支払先がスイミングスクールではない場合は課税対象になります。
祖父母から孫への援助が非課税になる条件
教育資金の一括贈与制度は、学校などに支払われる教育資金が1500万円まで、習い事など学校以外に支払われる教育資金が500万円まで非課税になる制度です。
贈与を受けるのは0~30歳までの子や孫で、前年の合計所得金額1000万円以下であることが条件になります。祖父母から孫への援助のみでなく、曽祖父母や父母など直系尊属からの援助が対象となり、配偶者の直系尊属や叔父・叔母・兄弟からの援助は対象外です。
500万円までの非課税枠の対象になるのは、塾や習い事などの月謝や謝礼・入会金・参加費・施設使用料などのうち、教育のために支払われるものとして社会通念上認められるものに限ります。
孫への援助が課税対象になった場合はどうなる?
孫への援助が非課税の対象外である場合、贈与税がかかります。
国税庁によると、年間に受けた贈与の合計から基礎控除額の110万円を引いた額が、贈与税の課税対象になります。18歳未満の子や孫が贈与を受けた場合は「一般贈与財産用」の計算方法が適用されるため、税率と控除額は表1の通りです。
表1
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | ‐ |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3000万円超 | 55% | 400万円 |
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」を基に筆者作成
非課税の対象外となる教育費を年間でどの程度援助しているかを把握し、適用される税率を確認しておきましょう。
普段通っているスイミングスクールに支払う費用であれば非課税の対象になる可能性がある
祖父母から孫への教育費の援助は、教育資金の一括贈与制度を利用することで500万円まで非課税になります。
ここでいう「教育費」には、習い事の指導者に支払う費用も含まれます。今回の事例の「大会」が県や市町村が主催するもので、大会の参加費を主催者に支払う場合は「教育費」には該当しないでしょう。そのため、非課税の対象外になると考えられます。
課税対象になることを知らずに放置すると贈与税が発生するおそれがあるため、事前に確認しておきましょう。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(1・2ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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