マイホーム購入の頭金に、貯めてきたタンス預金「150万円」を使う予定です。税務署への申告は必要でしょうか?
では、このタンス預金を頭金に充てる際、税務署への申告は必要なのか、気になるところですよね。結論から言うと、自分で貯めたお金であれば申告は不要ですが、いくつか注意すべき点があります。本記事では、その仕組みと注意点を詳しく解説します。
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目次
タンス預金は「課税対象」になるのか?
まず前提として、タンス預金=課税されるお金ではありません。
タンス預金とは、銀行に預けず自宅で現金のまま保管しているお金のこと。これが自分の収入(給料、事業所得、年金など)や、過去に課税済みの貯金からきたものであれば、改めて申告する必要はありません。つまり、税金をきちんと納めた上で貯めた現金なら、その使い道が「マイホームの頭金」であっても、税務署への届け出は不要です。
税務署が注目するのは「出どころの不明な資金」
ただし、問題になるのは「その150万円がどこから来たのか」が明確でない場合です。
たとえば次のようなケースは、税務署が「贈与」とみなす可能性があります。
・親や祖父母から現金をもらって、そのまま頭金に充てた
・家族の名義で貯めていたお金を流用した
・現金の出どころを証明できない
税務署は不動産購入時に「資金の出どころ」を重視します。マイホームを購入すると、登記情報や住宅ローン控除の申請を通じて、税務署にも情報が共有されるため、金額が大きい場合は調査対象になることも。もし説明がつかない資金があると、「贈与税がかかるのでは?」と指摘される可能性があります。
贈与税がかかるケースとは?
仮に親から資金援助を受けて150万円をもらった場合、年間110万円を超える贈与は課税対象となります。この場合は、翌年の2月16 日〜3月15日の間に贈与税の申告を行う必要があります。
ただし、マイホーム購入時には特例もあり、条件を満たせば「住宅取得等資金の贈与の非課税制度」を利用できる場合があります。
この制度を使えば、最大1000万円(省エネ住宅なら最大1500万円)まで非課税となることもあります。贈与を受けた人が20歳以上で、親や祖父母からの援助であること、住宅が一定の要件を満たしていることなど、細かい条件がありますが、正しく申告すれば大きな節税効果があります。
自分で貯めたお金なら「証明できるように」しておく
自分のタンス預金であっても、「どこからきたお金か」を説明できるようにしておくのが安心です。
特に次のような準備をしておくとよいでしょう。
1.過去の通帳記録や給与明細を保管しておく
現金を引き出した経緯や、貯金の積み立て状況がわかると説得力があります。
2.現金の保管期間や金額を記録しておく
「毎月少しずつ貯めた」「〇年前に引き出して保管していた」など、メモでも構いません。
3.不自然な振り込みを避ける
不動産決済時に急に大金を振り込むと、金融機関が「資金の出どころ確認」を求めることがあります。事前に相談しておくとスムーズです。
税務署への申告が不要なケースまとめ
以下の条件に当てはまれば、申告は不要です。
・150万円は自分の所得から貯めた現金である
・贈与や相続によるお金ではない
・過去に所得税を納めている
逆に、親や他人からもらったお金であれば、贈与税の対象になりますので注意しましょう。
堂々と説明できるよう準備を
タンス預金150万円を頭金に使うこと自体はまったく問題ありません。
しかし、「どこからきたお金なのか」を明確にしておくことが重要です。税務署への申告は不要でも、万一確認を求められたときに堂々と説明できるよう、記録と証拠を整えておくことが安心への第一歩です。
もし親からの支援がある場合は、贈与税の非課税制度などを賢く利用し、税金面でも無理のないマイホーム購入を目指しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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