20年前に「80万円で買ったデイトナ」が“160万円の価値”に!「ロレックスは資産になる」と聞いていましたが、購入時より高くなるものですか? 相続時は“時価”で評価されるでしょうか?
このような背景から、所有している腕時計を将来、子へ引き継ぐことを検討する人も増えています。
ただし、ロレックスを相続または生前贈与によって譲る場合には税金がかかる可能性があります。なお、評価の基準は購入時ではなく時価です。本記事では、家族に引き継ぐ際の税金や評価方法について整理していきます。
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ロレックスは本当に資産になる? 値上がりの背景とは?
ロレックスは長年、資産性の高い腕時計として知られてきました。実際、デイトナをはじめとする人気モデルは、中古市場で値崩れしにくく、むしろ値上がりしているケースが目立ちます。
値上がりの背景には世界的な需要と希少性がある
ロレックスが資産とされる理由として、世界的な人気とメーカーが生産数を大きく増やさない方針をとっていることがあります。ロレックスは熟練した職人の手作業により製造されており、大量生産できません。
そのため、市場に出回る数が限られており、中古市場においても需要が高止まりしていることが価格上昇の一因です。加えて、円安が進んだ時期には海外バイヤーが日本市場で買い付ける動きもあり、相場を押し上げました。
ただし、すべてのモデルが値上がりするわけではありません。人気の波や市場動向によっても変動するため、時計を資産として持つ場合でも、定期的に相場を確認することが大切です。
子どもへ譲るときにかかる税金は?
「資産価値のある時計を息子に引き継がせたい」と思ったとき、まず知っておきたいのは税金の仕組みです。
相続の場面では「時価」で評価される
相続税は、財産を受け取る際の「時価」が基準です。時計は不動産や株式のように明確な評価方法が定められているわけではありませんが、原則として市場価格で評価されます。
例えば、20年前に80万円で購入したデイトナが現在160万円相当であれば、相続税の計算では160万円で評価されると考えるべきです。
生前に譲った場合は「贈与税」の対象になる
生前に譲る場合は、贈与税の対象となります。贈与税には年110万円の基礎控除があり、この範囲内であれば非課税です。160万円の時計を1本譲ると控除額を超えるため、贈与税が発生すると考えておきましょう。
課税を避けたい場合は売却して現金化したあと、複数年に分けて現金で贈与する方法があります。なお、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算される(いわゆる「3年以内ルール」)ため、相続税の節税を目的とする場合は計画的に贈与を進めてください。
日常使用の腕時計は譲渡所得の対象外
腕時計は、譲渡所得の対象には含まれない資産です。そのため、買ったときより高く売れたとしても、基本的には売却益に税金は発生しません。
ただし、ダイヤモンドのような装飾が施されているなど、宝飾品としての側面が強いモデルの売却益は、課税対象となる可能性があるため注意しましょう。
相続と生前贈与の比較と考え方
ロレックスを譲る際、相続と生前贈与どちらがお得かはケースによって異なります。相続税は、ほかの財産と合算して税額が決まるため、現金や不動産、金融資産が多い家庭では相続税が増えてしまうかもしれません。
一方、生前贈与は、110万円の基礎控除を活用しながら複数年に分けて贈与することで、負担を抑えられる場合があります。ただし、前記の通り「3年以内ルール」があるので、早めに動くことがポイントです。
また、資産としての時計は、箱・保証書・オーバーホール記録がそろっているかどうかで価値が大きく変わります。将来のトラブルを避けるためにも、購入時の書類・証明はしっかり保管しておきましょう。
ロレックスをスムーズに引き継げるよう今から備えておくことが大切
ロレックスは、身に着けて楽しめる資産としても人気ですが、子どもに譲る際には相続税や贈与税が関係する点を忘れないでください。
時計の価値は購入時ではなく、譲るタイミングの「時価」で評価されることが基本です。特にデイトナのような高額モデルは、相続に含めるか生前贈与にするかで税負担が変わる可能性があります。家族が困らないよう、相続前に整理や記録を残しておくことが大切です。
出典
国税庁 第1章 総則
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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