兄から「不動産を共有名義にすると固定資産税が安くなる」と聞きました。本当でしょうか?実家を相続する場合は共有名義にするとお得になりますか?

配信日: 2025.11.13
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兄から「不動産を共有名義にすると固定資産税が安くなる」と聞きました。本当でしょうか?実家を相続する場合は共有名義にするとお得になりますか?
相続や不動産の名義変更を考えるとき、「共有名義にすると固定資産税が安くなる」といった話を耳にする人がいるようです。実際のところはどうなのでしょうか。
 
本記事では、「共有名義と固定資産税の関係」「相続で注意すべきポイント」について解説します。
小山英斗

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

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固定資産税は「評価額」に基づいて課税される

固定資産税は、土地や家屋などの固定資産を所有している場合、その資産が所在する市町村に対し、市町村税として納める地方税の一つです。ただし、東京都23区内に所在する固定資産については区ではなく、東京都に都税として納めます。
 
固定資産税は「不動産の評価額」に基づいて算出されます。税額の計算式は以下の通りです。
 
固定資産税=固定資産税評価額(課税標準額)×税率(標準1.4%)
 
例えば、評価額1000万円の土地があれば、固定資産税はおおよそ14万円となります。これを兄弟で共有名義にした場合、評価額がそれぞれ500万円ずつに分かれるだけで、合計税額は変わりません。
 
つまり、共有名義にしたからといって税金が安くなることはないのです。
 

税負担を軽くするための特別な軽減措置

一戸建てやマンションといった居住のための不動産については、固定資産税の税負担を軽くするためにいくつかの特別な軽減措置が設けられています。代表的なものには以下のような軽減措置があります。
 

【住宅用地特例】

・土地面積が200平方メートル以下の住宅用地
課税標準額が6分の1に軽減

・土地面積が200平方メートルを超える住宅用地
超えた部分の課税標準額が3分の1に軽減

 
ほかにも新築住宅を取得した場合や、リフォームをした場合に受けられる減額制度もあるので、該当する人は確認するようにしましょう。
 

「共有にすれば節税できる」という誤解の背景

共有名義にすることで税金を「分担」できるため、結果的に税負担を「軽く感じる」ことがあります。例えば、固定資産税14万円を2人で7万円ずつ負担すれば、家計への負担感は和らぎます。
 
しかし、これは「節税」ではなく「分担」です。税金の総額は変わらず、あくまで支払いの仕方が変わるだけです。
 
また、支払いをどちらかが滞らせると、督促状が届いたり、トラブルの原因になったりすることもあります。共有名義は、心理的な安心感の裏にリスクも潜んでいるのです。
 

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「共有名義」が招く、将来の思わぬトラブル

共有名義にすると、「管理と相続」が非常に複雑になるという点に注意が必要です。
 

売却・建て替えに全員の同意が必要

共有名義の不動産は、売却や建て替えを行う際に共有者全員の同意が必要です。一人でも反対すれば、手続きを進ませるのが難しくなります。
 
兄弟仲がよいときは問題なくても、数年後に意見が分かれたり、相続が重なって持ち分が増えたりすると、合意形成がより困難になることもあります。
 

次の相続でさらに複雑化

共有者の一人が亡くなると、その持ち分をさらに相続人が引き継ぎます。兄弟2人の共有だった土地が、次の世代では5人、6人と細分化されていくケースもあります。
 
結果として「誰がどのくらいの権利を持っているのか分からない」状態になり、売却も登記も難航します。こうした「共有トラブル」は、決して少なくありません。
 

相続時は共有ではなく「単独名義」を基本に

実家を相続する際は、原則として単独名義にまとめるほうが、あとでトラブルになるリスクを減らすことができます。どうしても兄弟で公平に分けたい場合は、次のような方法を検討しましょう。
 
・代償分割
不動産を1人が相続し、その代わりに他の相続人に現金を支払う方法。不動産を共有にせず、公平に遺産分割ができる。
 
・換価分割
不動産を売却して現金化し、そのお金を分け合う方法。実家を維持する予定がない場合に向いている。
 

2024年から「相続登記の義務化」もスタート

2024年4月からは、相続で取得した不動産の登記が義務化されました。登記を怠ると、過料(罰金)が科される可能性もあります。
 
共有名義の場合、共有者それぞれが登記手続きの対象となるため、申請が煩雑になりやすい点にも注意が必要です。
 

まとめ

「共有名義にすると固定資産税が安くなる」というのは誤解です。税金そのものは変わらず、むしろ将来的な管理や相続で苦労するケースが多いのが現実です。そのため、不動産を引き継ぐときは、「将来の使いやすさ」を重視した判断をするのが賢明といえます。
 
不動産をどのように引き継ぐかは、相続税対策・家族の関係性・将来のライフプランなどにも関わる大切な判断です。必要であれば、早めに税理士といった専門家へ相談するとよいでしょう。
 

出典

総務省 固定資産税
東京法務局 相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地!~
 
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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