夫の給料から「毎月10万円」を私名義の口座に入金してもらっています。すべて生活費に使用していますが、贈与税はかかるのでしょうか?
本記事では、生活費を夫婦間でやり取りした場合に、贈与税が課されるケースと課税されないケースの違いなどについてご紹介します。
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目次
生活費のためにお金を受け取っていても贈与税は課される?
国税庁によると、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は課税されません。そのため、今回のケースのように、夫から渡されたお金をすべて生活費として使用している場合は非課税です。
また、贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられています。もらった財産の使用用途に関係なく、年間の贈与額が110万円を超えなければ税金はかかりません。
課税されるケースとされないケースの違い
基本的に、贈与税が課されるのは基礎控除を超えている場合です。本章では、夫からお金を受け取った際に、課税される場合と課税されない場合の条件を解説します。
通常の贈与は課税対象
通常の贈与と判断されるケースで、贈与額が基礎控除額を超えていると課税対象となります。通常の贈与に該当するのは、プレゼントとして渡された財産だけではありません。非課税項目として受け取ったお金を、生活費や教育費など本来の用途以外に使った場合も含まれます。
例えば、毎月10万円を生活費として受け取っていたものの、実際には妻自身の貯金に回していた場合は、年間120万円の通常の贈与があったと判断される可能性があります。この場合、超過分の10万円に対して課税され、税率は10%で支払う税金は1万円です。
課税対象となった場合は、お金を受け取った翌年の2月1日〜3月15日の間に申告し納税します。オンラインでも郵送でも申告可能です。
非課税項目か基礎控除以内なら非課税
非課税項目となる内容でお金を受け取り使用した場合は、贈与税は課税されません。先に述べた生活費や教育費以外にも、非課税項目として国税庁では12項目が示されています。主な非課税項目の例は、以下の通りです。
・扶養義務者から受け取る生活費や教育費
・個人から受け取るお祝いやお見舞い、年末年始の贈答(お年玉など)、香典など社会通念上相当とみなされるもの
・直系尊属からの一括贈与の非課税制度を利用した住宅資金や教育資金、結婚資金の援助
なお、生活費には治療費も含まれるため、体調を崩して夫に病院代を負担してもらう場合も、税金は課されません。また、お祝いも非課税項目の一つであるため、誕生日プレゼントとして渡されたものは、社会通年上相当とみなされると課税されない可能性があります。
夫婦で生活費を管理するときのポイント
夫婦で生活費を管理する場合は、生活費用の口座を別に作るのがおすすめです。貯金や夫婦どちらかの普段利用している口座と同じにすると、生活費でいくら使用したのか、いくら残っているのかが分かりにくくなるためです。
貯金をする場合は、生活費用と貯金用口座を分けて管理するとよいでしょう。貯金を生活費用の口座と同じにすると、間違えて貯金分も使用してしまう可能性があるためです。
また、夫か妻のみが生活費を管理している場合、管理していない一方は出費に対してあまり関心を持ちにくくなるかもしれません。定期的に夫婦で支出状況について話し合い、価値観のズレを少なくしておくと、夫婦間でお金に対する考え方を統一でき、生活費の管理がスムーズに進められるでしょう。
すべて生活費のために使うなら課税されない可能性がある
夫から妻の口座へお金を送った場合、そのお金がすべて生活費や教育費のために使用されているか、年間110万円以内であれば非課税です。ただし、生活費や教育費以外の目的に使用すると、通常の贈与として扱われる可能性があります。
基本的に、通常の贈与は基礎控除110万円を超えていると課税対象です。非課税のままお金を受け取るためには、生活費としてすべて使用するか、国税庁が定めるほかの非課税項目を活用するとよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4429 贈与税の申告と納税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
