共働きで夫が生活費を「月10万円」入れてくれています。私の口座で管理していますが、これも贈与になりますか…?

配信日: 2025.11.22
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共働きで夫が生活費を「月10万円」入れてくれています。私の口座で管理していますが、これも贈与になりますか…?
共働き夫婦で、夫が毎月生活費としてお金を振り込んでくれている――そんな家庭も少なくないでしょう。しかし、「夫婦間のお金のやり取りでも贈与税の対象になる場合がある」と聞くと、不安になることもあるかもしれません。
 
そこで本記事では、夫婦間においてどのようなケースで贈与税の対象になるのかを解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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生活費は扶養義務の範囲にある

まず、結論からいえば、今回のように夫が家計のために妻へ生活費を渡す行為は、原則として贈与税の発生する贈与ではありません。なぜなら、民法第752条において、夫婦は互いに協力し助け合わなければならないという扶養義務が定められているからです。
 
実は、この扶養義務に基づく生活費などの贈与行為は、一定の条件のもと贈与税が発生しないと定められています。そのため、毎月10万円の生活費を妻名義の口座に入金しても、それは扶養義務の一環であり、原則税務上の贈与税の対象となりません。
 
仮に夫婦間の生活費のやり取りが贈与税の対象と見なされたとしても、その全額に贈与税がかかるわけではありません。贈与税には年間で110万円の基礎控除が定められているからです。例えば、毎月9万円の贈与が贈与税の対象と見なされた場合でも、年間では合計108万円であり、基礎控除の範囲内にあります。
 

扶養義務から外れるのはどんなとき?

しかし、注意しなければならない点があります。それは生活費として受け取ったお金を生活費として使わなかった場合です。例えば、そのお金をお小遣いとして遊興費に使ったり、株を買って資産に変えたりした場合などは、そのお金が本来であれば生活費の範囲内であったとしても、金額の大小にかかわらず贈与税の課税対象となります。
 
もちろん、実際に贈与税が発生するのは、贈与と見なされた額が年間で110万円を超えた場合ですので、直ちに贈与税が発生するわけではないのですが、この点は覚えておくべきでしょう。
 
参考までに、贈与税の税率は基礎控除後の課税価格が200万円以下の場合は10%です。仮に、毎月10万円、生活費として受け取ったお金を全額株に使った際に発生する贈与税は1万円となります。
 
生活費として受け取ったお金の取り扱いには注意するべきでしょう。
 

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税務署から疑われないようにするには?

とはいえ、やはり税務署から課税対象となる贈与なのではないかと疑われることについて、不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。特に近年では、相続や不動産の購入をきっかけに税務調査のお尋ねが届いたという話も耳にすることがあります。そういった話を聞いている方は、なおのこと心配になるでしょう。
 
税務署から少しでも疑われないために有効なのは、妻の口座を、夫から受け取る生活費専用の口座とその他の口座とで分けることです。そうすることで、生活費とその他のお金が混ざることを防ぎ、贈与でなく生活費と証明することができるでしょう。
 
ほかにも、生活費についての支出を記録しておけば、万が一お尋ねが来たとしても、使い道が生活費であることを証明することができるため安心です。
 

まとめ

共働き世帯において、月10万円を夫から妻の口座へ生活費として入れたとしても、原則として生活費は課税対象にはならず、贈与税はかかりません。
 
ただし、そのお金を生活費以外に使うと、その部分に関しては贈与税の課税対象となる可能性があります。
 
生活費の贈与について不要な疑いをもたれることを避けるためにも、生活費の口座は別で用意するなど、きちんとした管理をして家計を維持していくことをおすすめします。
 

出典

e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族 第二章 婚姻 第二節 婚姻の効力 第七百五十二条(同居、協力及び扶助の義務)
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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