「お布施は控除されるよ」と言われていたのに領収書をなくしてしまいました。もう取り戻せないのでしょうか?

配信日: 2025.11.22
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「お布施は控除されるよ」と言われていたのに領収書をなくしてしまいました。もう取り戻せないのでしょうか?
葬儀でお布施を渡した場合、税金の控除を受けられるケースがあります。それはどのような場合なのか、領収書がなくても受けられるのか、FPである筆者が解説します。
宮﨑真紀子

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
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お葬式費用にまつわる相続税計算のやり方

今回のテーマは、相続税を計算するときの「お布施」の扱いです。
 
被相続人が亡くなったときに相続が開始するのですが、真っ先に訪れるのがお葬式です。初めに、このお葬式費用は、相続税の計算時にどのように扱われるのでしょうか。国税庁のホームページを参考に、詳しく見ていきます。図表1はホームページから抜粋したものです。
 
財産を相続したときにかかる税金は、亡くなった人から各相続人等が相続や遺贈などにより取得した財産価額の合計が、基礎控除額を超える場合にかかります。ご存じのとおり、基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。この金額が大きなポイントです。
 
図表1

図表1

 
図表1に沿って、みていきます。
 
これまでに相続時精算課税制度を使った贈与財産がある場合は、図表1の1のように遺産の総額に加算します。2の金額から、非課税財産や債務、葬式費用を差し引くことができます。非課税財産に該当するものは、下記のとおりです。
 

1. 墓所、仏壇、祭具など
2. 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産
3. 生命保険金のうち、500万円×法定相続人の数 までの額
4. 死亡退職金のうち、500万円×法定相続人の数 までの額

 
「財産が多くある場合は、亡くなる前にお墓を作っておくことや生命保険に加入することが相続税の節税対策になる」といわれている理由です。
 
葬式費用も差し引くことができますので、相続税を計算するうえで重要だといえます。
 

差し引くことができる葬式費用とは?

国税庁のホームページでは、葬式費用について以下のように整理しています。
 
遺産総額から差し引くことが可能な葬式費用は、通常、次のようなものです。
 

(1)葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が控除できます)
(2)遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3)葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれに当たります)
(4)葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5)死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

 
次のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。
 

(1)香典返しのためにかかった費用
(2)墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3)初七日など法事のためにかかった費用

(国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用)から抜粋)

 
いよいよ、本題の「お布施」についてです。これは、差し引く費用の(4)に該当します。
 
葬儀屋さんへの支払いと同様に差し引くことができます。ですが、領収書をもらえない場合も多いと推察します。税務署に確認したところ、申告する場合は申告書に「いつ、誰に、いくら」支払ったかを記載すればOKという返答を得ました。
 
“誰に”は名称だけでなく、住所なども明記が必要です。税務署が後々確認の連絡をする場合が想定されています。また、お布施以外の御車料なども含めることは可能です。ただし、通夜および本葬にかかった費用だけで、それ以降の法要にかかった費用を含めることはできません。
 
知人のお母さまが亡くなられたときに、相続の相談を受けたことがありました。「お葬式代を差し引いて計算したら、税金を納めなくて済んだ」と話していました。もろもろの費用を計算すると、葬式費用もかさみます。忙しい最中ではありますが、領収書をしっかり保管するなどは重要だと再認識しました。
 

出典

国税庁 財産を相続したとき
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
 
執筆者 : 宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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