両親が「孫の学費300万円」を出してくれます。有難いですが、非課税は「110万円まで」ですよね? 贈与税でいくらか引かれるでしょうか?

配信日: 2025.11.26
この記事は約 4 分で読めます。
両親が「孫の学費300万円」を出してくれます。有難いですが、非課税は「110万円まで」ですよね? 贈与税でいくらか引かれるでしょうか?
子どもの大学進学は、家庭にとって大きな負担になることが多いです。授業料に加え、下宿する場合は生活費も必要となり、年間150万~300万円ほどかかることも珍しくありません。そのため、大学にかかる資金について、祖父母が援助を申し出てくれるケースもあるでしょう。
 
しかし、金額が大きくなると、気がかりなのが税金のことではないでしょうか。本記事では、祖父母から孫への教育費・生活費援助と贈与税の関係を分かりやすく解説します。さらに、2026年3月31日まで利用できる「教育資金の一括贈与」の非課税制度についても紹介します。
小川ひろ

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

祖父母からの学費援助は「生活費・教育費」であれば基本的に非課税

祖父母からの金銭援助のうち、孫の生活費や教育費として必要な都度支払われるものは、贈与税の課税対象外です。課税対象になる費用、ならない費用についてさらに詳しく見ていきましょう。
 

常識的な範囲であれば贈与税はかからない

祖父母から孫へ必要な都度支払われる費用の「常識的な範囲」とは、「その年齢の子どもに通常必要とされる支出」「教育のために通常必要な金額」などのことです。具体的には、以下のようなものを指します。
 

・大学の授業料
・入学金
・参考書や教材代
・下宿の家賃
・食費
・通学のための交通費

 
これらは、「生活費、教育費」に該当するため、基本的に非課税です。
 

300万円の援助も「学費+生活費の実費」なら問題なし

大学の費用であれば、400万円前後までが贈与税がかからない金額の目安といわれています。よって「孫が大学で必要とする費用」として300万円を援助してもらうのは、非課税扱いになります。
 
ただし、「使い道を問わない300万円の贈与」になると、贈与税の対象となります。学費・生活費として援助してもらうのであれば、祖父母に「学費の請求書や振込の記録」「下宿の家賃の領収書」などを保管してもらい、使い道が分かるようにしておきましょう。
 

注意!「貯めて渡す」と贈与扱いに

生活費や教育費を非課税扱いにするためには、「必要な都度支払われること」が重要です。つまり、以下のようなケースは課税の対象になります。
 

・孫の大学4年間の学費として、まとめて300万円受け取る
・「小学生の孫が大学生になった時のために」と、祖父母から300万円を受け取り貯金している

 
これらは「教育費」ではなく、単なる贈与とみなされ、贈与税の対象になります。
 

学費以外の援助は? 年間110万円までは贈与税の基礎控除で非課税

生活費や教育費以外の援助であっても、贈与税には年間110万円までの基礎控除があります。そのため、以下のような教育費に該当しない金銭贈与も、年間110万円以内であれば非課税です。
 

・お小遣い
・帰省の交通費
・プレゼント

 
学費援助とは別に贈与を受ける場合は、この110万円枠を意識しておくと安心です。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

祖父母のまとまった援助には「教育資金の一括贈与」の非課税制度も使える

先ほど、「まとまった金額の学費援助は贈与税の対象となる可能性がある」旨を説明しました。しかし、2026年3月31日までであれば、「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」を利用すると、最大1500万円までの教育資金一括贈与が非課税となります。
 

最大1500万円まで非課税

この制度では、

・学費
・試験の検定料
・通学定期券費用や留学の渡航費用
・塾や習い事の月謝

 
など、教育資金として使用する目的であれば、祖父母から孫へ最大1500万円まで非課税で贈与できます。贈与される孫の条件は「30歳未満」であることです。なお、学校以外の学費、つまり塾や習い事の月謝として使えるのは500万円までとなっています。
 
制度を利用する流れは以下の通りです。
 

1. 金融機関で教育資金専用口座を作る
2. 金融機関を通じて税務署へ「教育資金非課税申告書」を提出
3. 専用口座に教育資金を入金
4. 専用口座のお金を使った場合は、領収書などを金融機関に提出する

 

「教育資金の一括贈与」のメリットと注意点

「教育資金の一括贈与」のメリットおよび注意点を確認しておきましょう。
 

【メリット】

・孫はまとまった金額を事前に受け取れる
・大学の学費だけでなく、習い事などにも使える

 

【注意点】

・贈与者である祖父母が亡くなった場合、残った金額は相続税の対象になる
・孫が30歳に達するなど年齢条件を満たさなくなった場合、残った金額は贈与税の対象になる
・教育以外に使うことは不可、下宿代は対象外(ただし、学校に支払う寮費は対象内)
・領収書の提出が必要
・習い事など学校以外の教育費については23歳以上で対象外になる
・受贈者(孫)の合計所得金額が1000万円超の場合は対象外

 
注意点も多くありますが、使い道が明確にあり、将来の教育費の備えを早めに進めたい家庭に向いている制度です。
 

まとめ:学費援助は基本的に非課税。制度を理解すれば安心して受け取れる

祖父母から孫への学費援助は、必要な都度支払われる「教育費・生活費」であれば非課税です。年間300万円の支援でも、実際に必要な学費と生活費であれば問題ありません。
 
さらに、「贈与税の基礎控除110万円」「教育資金の一括贈与非課税制度(2026年3月31日まで)」などの制度を活用すれば、より安心して援助を受けることができます。
 
祖父母から援助の申し出があった場合は、これらの制度が利用できないか確認してみましょう。
 

出典

国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場 合の相続税の非課税制度のあらまし
 
執筆者 : 小川ひろ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問