90代父に「戒名は一等豪華にしてくれ」と頼まれ調べてみると、お布施金額「100万円以上」の例もあり仰天! 気の早い話ですが、葬儀費用として遺産から払えないでしょうか?
掲題のケースでは、「戒名は一等豪華にしてくれ」とお父様がおっしゃっているようです。位の高い戒名をつけてもらう場合、お布施はいくらくらい包むべきなのでしょうか。
本記事では、最高位の戒名をつけてもらった際のお布施額や葬儀費用と相続税の関係、お布施を相続財産から控除するときの注意点を中心に解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
「最高位の戒名」はお布施が100万円を超えるケースも
宗派によっても異なるものの、戒名の最高位は「院号」「院殿号」とされています。古くは大名や将軍といった限られた人に与えられ、現代ではお寺への貢献度の高い個人や、信仰の深かった個人に冠されることが多いようです。また、菩提寺へのお布施の金額によっても、この「院号・院殿号」を付けてもらえる場合があります。
ちなみに、葬祭事業を展開する燦ホールディングス株式会社が2023年に実施した「葬儀費用に関する実態調査」によると、大切な人の葬儀にかけたい費用は「100万円以下」との回答が計77パーセントにも及んでいます。一方「200万円以上」との回答は、わずか3パーセントでした。
一般的に「院信士(男性の場合)」「院大姉(女性の場合)」の戒名を希望する場合、戒名料だけでも「100万円」を超えるケースもあるようです。そのため、戒名料だけで多くの人がかけたいと考える葬儀費用を上回るような高額の支出となるかもしれません。
「戒名代」は葬儀費用として「相続税からの控除」が可能
相続手続きが終わっていない段階で、相続財産に手を付けることはできません。そのため、葬儀費用やお布施については、相続人が一時的に立て替えて支払うケースも多いでしょう。
ただし、国税庁の「タックスアンサーNo.4129 相続財産から控除できる葬式費用」によると相続税の計算では、相続人などが負担した一定の葬儀費用を遺産総額から差し引くことができます。控除の対象となるのは以下の費用です。
(1)葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
(2)遺体や遺骨の回収にかかった費用
(3)葬式の前後に生じた費用で通常葬式に欠かせない費用(通夜など)
(4)葬式にあたりお寺などに対して読経料等のお礼をした費用
この中でも、「戒名代」は僧侶への「お布施」に当たることから、上記(4)に該当すると解釈されるケースが多いようです。個々の金額や使途について、社会通念上適当か否かにも左右されますが、相続人の方が支払う「戒名代」については、相続税の計算から控除できる可能性が高いでしょう。
「お布施」を相続財産から控除するときの注意点
「お布施」を相続財産から控除するときの注意点は以下の2つがあります。
・注意点1:領収書が発行されない場合がある。
戒名代をはじめ、お布施はあくまで「心付け」と同じ扱いであり、売買とは異なるため領収書を発行してもらえない可能性があります。その場合、代替としてお寺の「名称」「所在地」「連絡先」と「支払日時」「費目」「金額」を記録しておきましょう。
・注意点2:控除できない費用もある。
国税庁によると、以下の葬儀費用は控除できません。
(1)香典返しのためにかかった費用
(2)墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3)初七日など法事のためにかかった費用
たとえお寺や僧侶へ支払う費用であっても、対象外のものもあるため注意が必要です。
まとめ
大切な人の願いは、誰しもが叶えてあげたいと思うでしょう。掲題の戒名についても、同様だと思います。相続人の金銭事情次第では、難しいこともあるかもしれません。ただし、戒名代は僧侶へのお布施に当たるため、相続財産から控除できる可能性があります。本記事が相続人の方の参考になると幸いです。
出典
燦ホールディングス株式会社 全国の喪主経験者2,000名を対象に調査。実際の葬儀費用が「適正であったかわからない」人が半数近く存在。故人が逝去してから葬儀社で見積りをした人が6割以上。
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
