次男の私が父の介護費を「月7万円」出していたけど、父は“家を長男にあげる”と言い出した…介護費を出すだけでは「相続権」はないのでしょうか?

配信日: 2025.11.29
この記事は約 3 分で読めます。
次男の私が父の介護費を「月7万円」出していたけど、父は“家を長男にあげる”と言い出した…介護費を出すだけでは「相続権」はないのでしょうか?
「父の介護費を毎月7万円負担してきたのに、家はすべて長男に譲ると言われました。」
 
こういった事例は、実はいまだに少なくありません。親のために尽くした次男側からすれば、これを苦しいと思うのは人として当然です。
 
そこで、親が「兄弟のうち一部を相続で優遇させる」と言った場合に、他の兄弟は何ができるのか、介護での貢献が相続に及ぼす影響について解説します。
柘植輝

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

介護をしても自動的に相続権が増えるわけではない

まず大前提として、兄弟はともに父親の相続人となります。ただ、親の介護費を負担していても、それを理由に相続分が増えることは原則としてありません。
 
なぜなら、民法では、兄弟間における相続の取り分は、原則として均等に分けるとされているからです。つまり、兄弟間であれば、兄か弟かに関係なく同じ割合で相続するのが基本なのです。これを法定相続分といいます。
 
そして、この法定相続分は、遺言による故人の意思表明ないし相続人間の遺産分割によって変更することができます。
 
そのため、あくまでも原則論の話にはなりますが、たとえ次男が親を介護していたとしても、父親が「家を長男にあげる」と決めてしまえば、その家は長男が相続することになるのです。
 
なお、余談ですが、故人の意思を相続に反映させるには遺言が必要です。例えば、遺言書などがその例です。そのため、今回のケースでは、遺言書などで遺言がなされていない限り、兄弟で法定相続分に基づき、話し合いをして家の相続を決めることになります。
 

もし遺言書があった場合は……?

では、もし遺言書などがあり、法的に有効な状態で長男が家を相続することになったとき、毎月7万円の介護費を負担していた次男は、家を相続することはできないのでしょうか。
 
この疑問については、残念ですがその通りとしかいえません。遺産をどのように相続させるかは、故人が自由に決めることができるからです。
 
しかし、家を長男が相続したことで次男の遺留分が侵害されていれば、その侵害額については金銭で長男に請求することができます。遺留分とは、相続人に認められた最低限の取り分で、兄弟が相続人である場合、相続財産全体の4分の1と定められています。
 
例えば、極端な話ですが、財産が2000万円の家のみであり、それが遺言によって長男の相続となった場合、次男は遺留分として500万円を長男に請求できるわけです。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

寄与分で増加が認められることも

今回、次男には月7万円分の介護費の負担があったということで、その他の条件次第では、これが特別な貢献として、本来の相続分に加えて寄与分が認められることがあります。寄与分とは、故人の財産の維持または増加に特別の貢献があった場合に認められるものです。
 
とはいえ、この寄与分は、なかなか相続人間で話し合いをすることが難しく、すんなり認められることはないようです。
 
だからといって、裁判手続きによって認めてもらおうものなら、その認定は非常に厳しいものであり、正直なところ、適用は容易ではありません。そのため、過度な期待をせず、弁護士など専門家と相談のうえ、対応することが理想です。
 

まとめ

介護費の負担に関係なく、長男と次男は原則同じ相続割合です。万一、遺言によって自身の相続する財産がなくなったとしても、遺留分によって最低限の相続分は保証されているため、相続権がないということはそうそう起こりえず、何らかの形で相続財産を得ることができます。しかし、相続に関する問題は非常に複雑です。
 
相続分や遺留分、はたまた介護費の負担による寄与分の有無など、どのように相続について考えていくべきか分からないときは、できるだけ早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
 

出典

裁判所 寄与分を定める処分調停
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問