実家の片付けをしました。父が収集した骨董品がたくさん出てきて「好きなものを持っていって」と言われたのですが、贈与になりますか?
そのようななか、例えば骨董品や宝飾品など比較的高価なものがあり、「もういらないから好きなものを持っていって」と言われてそれを受け取るケースもあるようです。そのような場合、贈与として扱われるのでしょうか?
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
https://fpoffice-minoria.jimdo.com/
贈与税の基本ルール
贈与とは、「この財産を無償であげます」「この財産をもらいます」という双方の意思の合致で成立します。その際、契約書などの書面の作成は絶対条件ではなく、口約束でも贈与が成立します。
ただし、書面によらない贈与は、まだ履行(実行)されていない部分に限り、いつでも撤回ができるとされています。将来的なトラブルや税務署への説明義務に備えて、誰が、誰に、いつ、何を、どのように贈与するかを明確にする「贈与契約書」を作成することが強く推奨されます。
贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に、個人から贈与を受けた財産の合計が110万円を超える場合にかかります。
ただし、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から受け取った生活費や教育費に充てるための財産で、通常必要と認められるものについては非課税です。家具、家電、食器、衣服などの生活に通常必要な動産も、原則として非課税です。生活に通常必要と認められる範囲を超える高額な物品は、贈与税の課税対象となります。
例えば、日常生活で使う食器の贈与は非課税ですが、1組30万円を超えるアンティークの食器をもらった場合、非課税にはなりません。しかし、この年に贈与を受けたものがこれ以外になければ、110万円以下なので贈与税はかかりません。この食器以外に贈与を受けたものがあり、合計で110万円を超える場合には贈与税がかかります。
骨董品の処分はどうする?
要になるケースや、逆に価値があることが分からずにゴミとして処分してしまうケースなどがあるようです。こういった事態を防ぐには、どうすればいいでしょうか。
まずは、持ち主が存命の場合には価値のあるものがないか確認することが重要です。
そして、価値のありそうなものが見つかった場合には、インターネットで類似品がどれくらいの価格で取引されているのか調べてみる、場合によっては専門家に査定を依頼し、査定・鑑定書を取得しておくとよいでしょう。そのうえで、継続保有、贈与、売却、寄贈などを決めていきます。
骨董品や宝飾品以外にも、着物やアンティーク家具、コインやレコードなども高価である可能性があります。気になるものがあれば、価格を調べてみましょう。
将来的に家族に譲ることを考えているのであれば、毎年110万円の非課税枠がある暦年贈与を使って少しずつ贈与していくと、一度に相続する場合よりも税負担を抑えられる場合があります。
相続時の税負担を抑え、トラブルを避けるためにも、高価な財産は家族で話し合いながら適切に処分していきましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者 : 宮野真弓
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者