生前贈与は「あえて年120万円にして、贈与税1万円払う」と言う父にビックリ! どうやら「税金回避」になるそうですが、税務署に“定期贈与”とみなされないって本当ですか? リスクもあわせ解説

配信日: 2025.12.10
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生前贈与は「あえて年120万円にして、贈与税1万円払う」と言う父にビックリ! どうやら「税金回避」になるそうですが、税務署に“定期贈与”とみなされないって本当ですか? リスクもあわせ解説
「毎年贈与をするならば、あえて贈与税の基礎控除110万円を超えた金額を贈与して贈与税を払ったほうが良い」という話を聞くと、なぜわざわざ贈与税を支払うのかと疑問を持つ人もいるでしょう。
 
これは、「毎年基礎控除以内の金額で贈与を繰り返した場合、定期贈与とみなされ多額の贈与税がかかることがある」というリスクを回避するために生まれたものです。
 
あえて毎年単発の贈与があったことを申告し、少額でも贈与税を払うことで「毎年個別の贈与をしている」と税務署に認めさせるテクニックだといいますが、これは本当に有効なのでしょうか? 本記事で解説します。
浜崎遥翔

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110万円でも一括課税される「定期贈与」のリスク

まず、贈与税には年間110万円の基礎控除額が存在します。このため、贈与を受けた金額が110万円以下の年は贈与税がかからず、申告も不要です。例えば、毎年110万円を10年間贈与すれば、1100万円を無税で贈与でき、結果的に将来の相続税も回避できると考える人は多いかもしれません。
 
しかし、これには大きなリスクが伴います。税務署は、「贈与者との間で最初から1100万円を贈与する約束がされていた」と判断した場合、それを「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与」があったとみなします。
 
こうなると、契約した年に一括で贈与があったものとして課税されるため、多額の贈与税支払い義務が生じるのです。
 
仮に、子ども(成人)が父親から1100万円を初年度に贈与されたとみなされた場合、贈与税の金額は207万円になります。無税のつもりが、数百万円の追徴課税となるリスクがあるのです。
 

そこで生まれた毎年納税するというテクニック

この110万円のリスクを回避するために生まれたのが、「あえて毎年基礎控除以上の贈与を行って贈与税を支払う」というテクニックです。
 
110万を超える贈与を受けることで、その年の確定申告・贈与税の支払い義務が生じます。税務署に申告書を受理してもらうことで、「この年の贈与はこれで完結した」というお墨付きをもらえるという考え方です。
 
例えば、毎年の贈与を120万円とした場合、年間1万円×10年分で10万円の贈与税支払い義務が生じます。それでも、贈与税が207万円となるリスクを回避できるのであれば、決して高い金額ではないと考える人も多いでしょう。
 

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納税テクニックは有効か? 残されたリスク

この「120万円を贈与して1万円を納税する」というテクニックは、税務署に申告の事実を残すという意味で、多くの専門家が有効な対策であるとしています。
 
しかし、これだけで「絶対安全」とは言い切れないでしょう。税務署が10年間の約束があったと判断し、「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与」とみなされるリスクはゼロではないのです。
 
1200万円が最初の年に贈与されたとして課税された場合、贈与税額は246万円となります。これを防ぐためには、以下の対策を併用したいところです。


・毎年、贈与契約書を作成する
・贈与の時期や金額を毎年変える

「申告・納税を行う」だけではなく、こういった対策を同時にとることで、多額の贈与税が発生するリスクを少しでも減らしましょう。なお、税務署がどう判断するかは個別具体的に判断するため、税理士などの専門家に相談するのが無難です。
 

まとめ

「120万円を贈与して1万円の税金を払う」というのは、有効な節税テクニックの1つです。とはいえ、こういった対策をとっても「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与」とみなされ、200万円以上の贈与税が生じるリスクはゼロではありません。
 
金額や時期を毎年変える、その都度贈与契約書を締結するなどの対策も一緒に行い、それぞれの贈与が単発であるという証拠を積み重ねることが重要です。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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