妻が「180万円」の高級バッグを買うそうなので私の口座から「200万円」を送金しました。家族間なので贈与税はかかりませんよね?
本記事では、家族間でお金を口座移動した場合に贈与税の課税対象となるのか、また申告が必要だった場合に、申告をしないとどうなるのかなどについてご紹介します。
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目次
200万円をバッグのために口座移動すると贈与税の課税対象となる可能性がある
家族間であっても、基本的に条件に合致していれば贈与税は課されます。
民法第549条によると、贈与とは「当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」ものです。
つまり、妻が高級ブランドのバッグを購入するために夫が妻の口座へ送金することは、無償でお金を渡しているため、贈与と判断される可能性が高いといえます。
さらに、国税庁によると、贈与税は個人が贈与で財産を取得した場合に課される税金です。贈与税には基礎控除(年間110万円)が設けられているため、110万円を超えた分に対して課税されます。
妻のバッグを購入するために自身の口座から200万円を送ると贈与になること、また、その金額が110万円を超過していることから、今回のケースは贈与税の課税対象となります。
今回のケースでは、基礎控除の超過分90万円が課税されます。税率は10%のため、贈与税額は9万円です。贈与税は受け取った側に対して課されるため、今回は妻が贈与税を支払うことになるでしょう。
申告しないままでいると追加で課税されるリスクがある
贈与税の申告、納税期限は「贈与された翌年の2月1日から3月15日まで」です。税金の申告や納税が必要にもかかわらず放置したままでいると、本来の税金とは別に追加で税金が課される可能性があります。
申告期限までに税金の申告と納付をしないと、「延滞税」の課税対象になります。延滞税は納付期限から過ぎるほどに金額が高くなる税金です。
また、申告が必要と知らずに申告しないままでいると、「無申告加算税」も課される可能性があります。
口座移動の目的によっては課税されないケースもある
贈与はすべてが課税対象となるわけではなく、非課税となる項目も設けられています。例えば、夫婦間で生活費や治療費のためにお金を渡すことは非課税です。けがや病気のために、長期入院費用や高額な治療費が必要となった場合に、夫から妻へ必要な金額を渡しても、贈与税の申告は必要ないでしょう。
ただし非課税の対象は、必要な金額を必要なタイミングで渡した場合です。治療費で必要な金額が90万円だったのに180万円を送った場合、余分な90万円分は通常の贈与として扱われる可能性があります。生活費や治療費として妻に送金する場合は、必要な金額のみにしておきましょう。
生活費や治療費以外にお祝いとして渡した場合は、社会通念上高すぎないと判断される範囲内であれば非課税です。ただし、お祝い事に関する贈与の非課税は、明確に金額の基準が示されているわけではありません。
高額すぎるプレゼントは、通常の贈与扱いになる場合もあるので、判断がつかないときは税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
家族間であっても贈与税は課される
贈与税は、個人間の贈与に対して課される税金です。たとえ家族であっても、その年の1月1日〜12月31日の贈与合計額が基礎控除額よりも多くなる場合は、贈与税の課税対象として申告と納税が必要になる可能性があります。期限内に申告し、納税を忘れないようにしましょう。
ただし、家族間で送金した理由が、生活費や治療費のためだった場合、その金額が必要な範囲であれば非課税です。また、誕生日プレゼントなどのお祝い物も、社会通念上高すぎない範囲であれば課税されません。
社会通念上高すぎないとみなされる金額であれば、妻がバッグを欲しがったときにお祝いのプレゼントとして渡すのも選択肢の一つです。バッグが高額で非課税になるか判断がつかない場合は、専門家に相談しましょう。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三編 債権 第二章 契約 第二節 贈与(贈与) 第五百四十九条
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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