夫が「専業主婦の妻」名義で、自動車を購入! 子どもの“幼稚園の送り迎え”のためですが、生活費として「非課税」になりますか?車が“1人1台必要”な地域なら大丈夫でしょうか?
買い物や通勤に車が必要な地域では、車は「一家に1台」ではなく、「1人1台」所有することもめずらしくありません。そんな地域では、「子どもの通園用に車を購入する」というケースもあるでしょう。
子どもの送り迎えをメインで行う専業主婦の妻のために、夫が妻の名義で車を購入した場合、「生活に必要な車」は、夫から妻への「贈与」になるのでしょうか。本記事では、生活必需品である車の購入は「贈与」となるのかについて解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
年間110万円を超える財産には贈与税がかかる
贈与税とは、「個人から贈与により財産を取得した場合」に課税されるもので、年間110万円以上に相当する財産を受け取ったときに贈与税がかかります。ただし、110万円を超えるすべての贈与が課税対象というわけではありません。
一般的な家庭での贈与のうち、「生活費や教育費として通常必要と認められる範囲の支出」や「冠婚葬祭にかかる費用」、「教育資金」、「結婚資金」、「子育て資金」といったものは110万円以上であっても、一定の条件を満たせば課税の対象外となっています。
田舎で車が必需品でも生活費扱いにはなりにくい
地方では車は生活に必要なものであるとはいえ、贈与税の対象となるのでしょうか。結論から言うと、車の購入は生活費として認められない可能性が高いでしょう。
生活費のうち「食費」「衣類費」「教育費」のように、日々消費していくものと比べて、車は「資産」となるためです。もちろん、使用の年月によって車の価値は徐々に下がっていきますが、よほどのことがない限り、数年で車の査定額がゼロになるという可能性は極めて低いでしょう。
そのため、資産性が高い車は「日常生活に必要」なものであっても、一般的な「生活費」とは性格が異なるため、生活費として認められることは難しく、「贈与」とみなされる可能性が高いのです。
贈与とみなされないための節税ポイント
妻名義の車を夫が購入することは、贈与税の対象となる見込みが高いでしょう。しかし、車の購入時に、次の点を意識しておくと、「贈与」にあたらないと判断される可能性があります。
車の名義は妻なのに実際の支払いは夫であると、「贈与」とみなされる可能性が高くなります。このリスクを下げるため、車検証の使用者欄を「夫」または「夫婦共有」にしましょう。夫名義の車を「妻に貸す」、もしくは「夫婦で共有する」ことで、「贈与」の形式を避けることができます。
また、保険料や自動車税を家計口座から支払うことで、「娯楽のための車」ではなく「生活に必要な経費」であることを示すことができます。このように、家計からの支出であることや、夫婦で共有して使用していることを明確にしておくことで、贈与税の課税リスクを下げることができます。
車の購入時の工夫で節税を
車が生活必需品であっても、妻名義の車を夫が購入した場合は、贈与税がかかる可能性があります。ただし、購入時の名義や使用者を「夫」または「夫婦共有」にしたり、車にかかる経費を家計から出したりすることで、そのリスクを避けられるでしょう。
ただし、あまりにも高額な車を購入する場合は、税理士に相談しておくと安心です。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
