自宅に「現金10億2000万円」を保管し「約5億円」を脱税! 相続税が“億単位で引かれる”のは妥当ですか? 現金なのになぜバレるのでしょうか?

配信日: 2025.12.16
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自宅に「現金10億2000万円」を保管し「約5億円」を脱税! 相続税が“億単位で引かれる”のは妥当ですか? 現金なのになぜバレるのでしょうか?
「なぜ親が自分のために遺(のこ)してくれた財産を『相続税』として納めなければいけないのか」と疑問に思ったことのある人もいるでしょう。
 
その相続財産が大きくなればなるほど相続税も多額になるため、「税務署に申告せず、タンス預金として隠しておきたい」と脳裏によぎってしまうこともあるかもしれません。
 
実際に2025年10月には、相続した現金約15億円のうち、自宅に約10億円の現金を保管し、相続税約5億円を脱税したというニュースが話題になりましたが、そもそも相続税はどのくらい引かれるものなのでしょうか。
 
本記事では、相続税の基本的な仕組みと、「タンス預金」がなぜ税務署にバレてしまうのかについて解説していきます。
渡辺あい

ファイナンシャルプランナー2級

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相続税の仕組みと「基礎控除」

相続税は、相続した遺産のすべてに対してかけられるわけではなく、遺産の総額から一定の非課税枠を引いた残りに相続税が課されます。「3000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式をもとに基礎控除額が決まるため、相続人が多ければ基礎控除も大きくなっていくのです。
 
遺産がこの基礎控除以下であれば相続税はかかりませんが、基礎控除を超えた場合は、超えた分の財産を法定相続分に応じて按分し、さらにそれぞれの取得分に応じた税率で税額を算出します。税率は段階的に高くなり、財産が多いほど税率も高くなるという仕組みになっています。
 
つまり、遺産額が大きいほど納税額の割合も大きくなり、課税対象となる遺産が基礎控除額を大きく超える場合、税率が最高55%になることもあるのです。
 

タンス預金も「相続財産」の対象になる

相続税の対象になる財産は、土地や貴金属、通帳の預金だけではありません。自宅の金庫やタンスに保管していた現金、さらに被相続人が持っていた財布に入っていた現金も含めて、経済的価値のあるすべてが相続財産として扱われます。
 
そのため、現金であろうと預貯金であろうと区別はなく、被相続人が亡くなった時点のすべての財産を申告しなければいけません。
 
一部の人には「タンス預金は節税対策である」と誤解されることもありますが、タンス預金であっても被相続人の財産であれば、「相続財産」と課税の対象となります。「タンス預金」そのものは違法ではありませんが、相続が発生した場合に申告をしないのは「脱税」とみなされる可能性があります。
 
つまり、現金を自宅にこっそりと保管していても節税にならないのはもちろん、後で「隠し財産」が発覚した場合、追徴課税や重加算税といったペナルティの対象となってしまうのです。
 

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なぜ「現金の存在が税務署にバレる」のか

「自宅に現金を隠しておけばバレないのでは」と考える人もいるでしょう。しかし、今回のニュースで話題になったように、「税務署の調査で隠し財産が見つかる」といった事例は少なくありません。
 
税務署では、死亡届を市区町村から受け取り、相続が発生した段階で、被相続人の預金口座の履歴や収入、生活状況の情報を確認し、口座の動きや過去の収入と資産のバランスをチェックします。
 
例えば、大きな預金の引き出しがあるのに、それをほかの口座に移した形跡がない、あるいは使った形跡がないなど、不自然な動きがある場合、税務調査対象として「浮いた現金」の行方について調査することがあるのです。
 
また、タンス預金を隠して相続税の申告をしなかった場合には、「無申告加算税」や「過少申告加算税」、あるいは「意図的に財産を隠した」と判断された場合、「重加算税」が課される可能性があります。
 
これらの加算税は、本来の税額に上乗せされる形で課されるため、本来正確に申告していた時の納税額よりも増えることになります。
 

正しい申告と納税を

遺産を相続するとき、被相続人のすべての財産を正しく申告する必要があります。相続税は基礎控除を計算したのち、それを超える財産に課され、その財産額に応じて納税額が決まります。自宅に「タンス預金」として現金を保管している場合でも、相続税の対象です。
 
「タンス預金だから大丈夫」と隠しても、税務署は口座情報などを通じて被相続人の資産を把握しているため、悪意のある申告隠しは「脱税」とみなされるリスクがあります。相続税の申告は期限内に正しく行い、必要に応じて税の専門家に相談することも検討しましょう。
 

出典

国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
 
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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