母子家庭で、これまで二人暮らしてきた母が急逝…。「公営住宅」に住んでいますが、私は出ていかないといけないでしょうか。

配信日: 2025.12.18
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母子家庭で、これまで二人暮らしてきた母が急逝…。「公営住宅」に住んでいますが、私は出ていかないといけないでしょうか。
母親名義で公営住宅に住んでいて母親が亡くなった場合、一緒に住んでいた家族はそのまま住み続けることができるのか、不安になることもあるでしょう。
 
住み続けることを希望する場合、どのような条件を満たす必要があるのか、どのような手続きをしなければならないのか、確認しておくと安心です。
 
本記事では、公営住宅の入居者が利用できる「使用承継制度」についてご紹介します。
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公営住宅の使用権は相続の対象になる?

公営住宅の名義人である母親が亡くなった場合、公営住宅の使用権は相続の対象にはなりません。
 
公営住宅は公営住宅法で入居条件が定められており、収入が一定基準を超えている人や、住宅に困窮していない人などは入居できません。入居希望者の中から、公正な方法で入居者を選考しています。
 
公営住宅の使用権を相続できるようにしてしまうと、ほかの入居希望者との公平性が保たれなくなるおそれがあります。そのため「これまで一緒に暮らしてきた名義人が亡くなった」ときは、公営住宅を退去しなければならなくなる可能性があります。
 

入居名義人である母親が死去した場合、同居していた子どもは退去しなければならない?

今回は「母子家庭で母が亡くなった場合、同居していたその子どもは退去しなければならないのか?」ということですが、公営住宅には「使用承継制度(入居承継制度)」があります。
 
これは名義人の死亡などやむを得ない事情があり、一定の基準を満たした場合、同居者が引き続き公営住宅に住み続けることができるようにするための制度です。
 
国土交通省によると、以下の条件に該当する同居者はこの制度を利用できません。
 

・同居していた期間が1年に満たない
・収入が月収39万7000円を超える
・不正入居や家賃滞納などをしている

 
なお、承継の取り扱いは自治体によって異なり、独自の基準を設けているところもあります。例えば東京都住宅政策本部では、承継を認める範囲を「原則として名義人の配偶者またはパートナーシップ関係の相手方のみ」としており、名義人の子どもは制度の対象にならない自治体もあるようです。
 
ただし、60歳以上の高齢者や障害者・病弱者に限り、名義人の三親等親族まで制度の利用が許可されます。つまり、これらの条件に当てはまる人であれば、名義人の子どもであっても引き続き公営住宅に住み続けられる可能性があります。条件は自治体によって異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
 

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「使用承継制度」を利用するための手続き

東京都では、使用承継制度の利用を希望する際に次のような手続きが必要です。
 

・名義人が死亡した際に、同居人は「住宅世帯員変更届」を提出する
 
・住宅承継の基準に当てはまり、同居人が公営住宅にそのまま住み続けることを希望する場合は「住宅使用承継申請書」を提出する

 
制度の基準に当てはまらず公営住宅を退去しなければならない場合や引き続きの居住を希望しない場合は、名義人の死亡から6カ月の猶予期間が与えられているため、その間に転居先を探すとよいでしょう。
 
猶予期間を過ぎても退去しないと、猶予期限の翌月から近傍同種の家賃相当額を負担することになったり、最終的に訴訟を提起されたりする場合もあるため、期間内に速やかに退去することが大切です。
 

公営住宅の使用権は相続の対象にならないが、使用承継制度の利用対象に該当すればそのまま住み続けることが可能

公営住宅の使用権は相続の対象にならないため、入居名義人が死亡しても、原則として同居人がそのまま使用権を引き継ぐことはできません。
 
しかし、公営住宅には「使用承継制度」があり、条件に当てはまれば同居人がそのまま住み続けられる場合もあります。
 
条件には同居していた期間や同居人の収入などが挙げられていますが、自治体によって異なる部分もあるため、事前に確認しておきましょう。また、制度を利用する場合の手続きの流れについても調べておくことをおすすめします。
 

出典

デジタル庁e-GOV法令検索 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第三章 公営住宅の管理 (入居者資格)第二十三条・ 第三章 公営住宅の管理 (入居者の選考等)第二十五条
国土交通省 公営住宅制度の概要について 4 入居制度 (4)承継承認(法27条6項)(3ページ)
東京都住宅政策本部 都営住宅の入居者募集等使用承継制度(平成19年8月25日から)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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