「もう老い先短いから」と、祖父秘蔵の「金の延べ棒」をもらってしまった! 金の店頭価格は「グラム2万円超え」らしいですが、もらったのは「20グラム」と小さいので“贈与税”を気にする必要はないですよね?
しかし、もし金の価格が高騰した場合や何らかの税制上の理由によって、後から贈与税の申告が必要になったり、税務署から指摘を受ける可能性もあり、不安に感じる方もいるかもしれません。
本記事では、金の延べ棒が「課税対象」になるケースを解説します。
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目次
「金の延べ棒」はリスクヘッジ資産として注目されている
価値が比較的安定している純金は、円やドルなどのお金の価値に影響されないリスクヘッジ資産として、注目を集めているようです。貨幣と異なり、政情不安などの地政学的リスクに左右されにくい「安全資産」という側面もあり、人気の高い金融商品のひとつといえます。
アンティークコインや一部の記念硬貨といった金貨にも、プレミア品など価値が高いものは存在するものの、純度の高い金の延べ棒、つまり「金地金」「金インゴット」は、主に地金価格に連動する安全資産として取引されています。
12月15日時点での「金地金」の買取価格は「グラム2万3614円」
「田中貴金属工業株式会社」は、世界の金および銀市場にて最も権威あるLBMA(ロンドン地金市場協会)から公認された溶解業者です。同社は金の店頭小売価格と店頭買取価格を日足で公開しており、2025年12月中旬時点での店頭買取価格は「2万3614円」で推移しています。
金の店頭小売価格は、2025年初頭には1グラムあたり1万4000円だったものが、春以降は1万6000〜1万8000円台へと上昇し、秋以降は2万円台に近づくなど高値圏で推移しています。田中貴金属の長期データを見ても、2025年の金価格は2020年代前半と比べて明らかに高騰傾向にあることが読み取れます。
20グラムでも取引価格によっては「課税対象」となる可能性
金の延べ棒は、不動産以外の財産である「一般動産」に該当するため、売却して利益が出た場合には、その利益が「譲渡所得」として総合課税の対象になります。
国税庁によると、「譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、金地金(中略)などが含まれます」と明記しています。
そのため、身内から無料で金の延べ棒を譲り受けた場合でも、贈与時点の評価額が贈与税の基礎控除内であれば贈与税はかからない一方、その後に値上がりした金を売却して利益が出れば、その売却益は「譲渡所得」として総合課税(短期・長期の区分あり)の対象となる可能性があります。
金のグラム数では課税対象額ではなかったとしても、贈与時の評価額と売却時の価格の両方に注意する必要があります。
例えば、12月中旬時点での金相場を参考にすると、20グラムの金地金の買取価格は「47万2280円」です。ここで注意したいポイントは、所有期間(祖父の所有期間を引き継ぐ)によって、異なる税率が適用されるという点です。
・所有期間が5年以内(短期譲渡所得)
{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円=課税される譲渡所得の金額
・所有期間が5年以上(長期譲渡所得)
{譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除50万円(他譲渡所得と合算)} × 2分の1 = 課税対象額
今回のケースで見ると、贈与時の取得費が低いと仮定すると売却益が約47万円となり、特別控除50万円以内に収まるため課税されない可能性が高いです。
ところが「贈与税」の観点から見ると、贈与税の基礎控除は110万円であるため、もしも金地金以外にも掲題の祖父から受け継いだ財産がある場合はこの限りではありません。基礎控除の枠を超え、課税対象となる可能性が捨てきれないため、贈与される財産の価値は事前に整理しておいたほうが良いでしょう。
いずれにせよ、申告が必要な場合に備えて、移転の事実を証明する「贈与契約書」を作成しておいたほうが適当かもしれません。
まとめ
約47万円相当の金の延べ棒を贈与された場合、贈与税の基礎控除(年間110万円)単独で課税対象にはなりません。一方で、金相場が高騰したり、同じ祖父から他の贈与財産を受け取っている場合には、贈与税の基礎控除110万円を超える可能性があります。超えた場合は申告が必要なため、先を見越した「贈与契約書」の作成を検討しておきましょう。
出典
田中貴金属工業株式会社 金価格推移
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2220 総合課税制度
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.3161 金地金の譲渡による所得
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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