高齢の父が「自宅を売ったお金から200万円ずつ配りたい」と言います。兄は前向きですが、私は父の生活費が心配です。生前贈与でどこまで渡してよいのでしょうか?

配信日: 2026.01.09
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高齢の父が「自宅を売ったお金から200万円ずつ配りたい」と言います。兄は前向きですが、私は父の生活費が心配です。生前贈与でどこまで渡してよいのでしょうか?
「自宅を売ったお金が入ったから、子どもたちに200万円ずつ渡そうと思う」高齢の父からそんな風に言われたら、どう答えるでしょうか。兄は「相続税対策になるなら、今のうちにもらっておいた方がいい」と前向きな様子。
 
生前贈与は節税に有効だと言われますが、親の老後資金まで削ってしまって本当に大丈夫なのでしょうか。家族として知っておきたい、生前贈与の“ちょうどいい線引き”を考えてみましょう。
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生前贈与は「節税」だけで決めてはいけない

生前贈与が注目される理由のひとつが、「年間110万円までなら贈与税がかからない」という制度です。複数年に分けて贈与すれば、相続時の財産を減らす効果が期待できます。
 
ただし、税金面のメリットばかりを優先すると、大切な視点が抜け落ちがちです。それが、「贈与する側である親の老後生活」です。お金を渡すことで、親自身の生活が不安定になってしまっては、本末転倒と言えるでしょう。
 
ベンチャーサポートコンサルティング株式会社が行った生前贈与調査によると、生前贈与を受けたことがある人は4.5%、半数近くが生前贈与を「今後検討したい」と回答していました。
 

自宅売却後の生活費は想像以上にかかる

自宅を売却すると、まとまった現金が手に入ります。
 
しかし同時に、「住む家」という大きな資産を失うことになります。売却後は賃貸住宅に住むのか、サービス付き高齢者向け住宅や介護施設に入るのかによって、毎月の支出は大きく変わります。
 
さらに、年齢を重ねるにつれて医療費や介護費が増える可能性も高まります。元気なうちは問題なくても、突然の病気や要介護状態になると、月に数万円から十数万円の追加負担が発生することも珍しくありません。
 

生前贈与で考えるべき「適正なライン」

では、生前贈与で「どこまで渡してよい」のでしょうか。基本的な考え方は、「親が生涯にわたって安心して暮らせる資金を確保したうえで、余裕資金から行う」ことです。
 
目安としては、今後の生活費、医療費、介護費を含め、平均寿命よりも数年長く生きた場合でも対応できる資金を手元に残すことが望ましいとされています。
 

一度渡したお金は、原則「戻らない」

もうひとつ重要なのが、生前贈与は「原則として取り消せない」という点です。
 
将来、親が「やはりお金が足りない」と感じても、子どもに返還を求める法的義務はありません。たとえ親子関係が良好でも、金銭を巡る問題は精神的な負担や家族間のわだかまりにつながりやすいものです。
 
だからこそ、「もらえるからもらう」ではなく、「本当に今、受け取っていいのか」を冷静に考える必要があります。
 

家族全員で「安心」を優先した話し合いを

生前贈与は、上手に活用すれば家族全体にとってメリットのある制度です。しかし、その前提は常に「親の生活の安心」が守られていること。節税や損得だけで判断するのではなく、将来の生活設計を数字で確認し、家族全員が納得したうえで進めることが大切です。
 
兄弟で意見が分かれたときこそ、感情論ではなく、親の老後を中心に据えた冷静な話し合いを心がけたいものです。
 

出典

ベンチャーサポートコンサルティング株式会社 生前贈与調査(PRTIMES)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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