ときどき母が“お小遣い”を送ってくれます。毎回、5万~10万円ほどの金額なのですが、これって相続税対策でしょうか? またこのような方法は税務署にバレたら指摘されるのでしょうか?

配信日: 2026.01.14
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ときどき母が“お小遣い”を送ってくれます。毎回、5万~10万円ほどの金額なのですが、これって相続税対策でしょうか? またこのような方法は税務署にバレたら指摘されるのでしょうか?
個人から財産を無償で受け取った場合に、受け取った側に課税されるのが贈与税です。
 
ただし、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に受け取った財産の合計額が110万円(基礎控除額)以下であれば、贈与税はかかりません。もちろん、これはたとえ親子間といえども例外ではありません。それでは、お小遣いとして1年間に受け取った金額の合計が110万円を超えるとどうなるのでしょうか?
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

贈与税が課税されるケース、課税されないケース

前述の通り、贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対して課税されます。したがって、1年間に贈与を受けた財産価額の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりませんし、贈与税の申告も不要となります。
 
これを原則として、国税庁タックスアンサーに贈与税が課税されないケースがいくつか列挙されており、そのなかで親子間のお小遣いに関連する可能性があるものは以下の通りです。
 

(1)夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費や養育費、その他子育てに関する費用などを含みます。また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。
 
したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり、株式や不動産などの買い入れ資金にあてたりしている場合には贈与税がかかることになります。
 
(2)個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
 
(3)直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
 
(4)直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
 
(5)直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

 
※国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」より
 
上記のうち、(1)については、扶養義務者(母)から子への生活費、教育費で通常認められるものは非課税となるとしています。ただし、それを預金した場合や、株式投資や不動産購入などの資金とした場合には課税となると示しています。
 
(2)については、「お年玉」が想像しやすいですが、原則、贈与税は非課税となります。ただし、金額や態様が社会通念上相当と認められる範囲を超える場合は贈与税が課税されることもあります。
 
(3)から(5)については、一定の条件を満たし、手続きすることで上限金額までの贈与税が非課税となる制度(措置)です。
 

贈与は相続税対策?

母が生前贈与として、継続して子にお小遣い(贈与)していくことは、将来における相続時の相続財産を生前に子に移転しておく効果があり、相続税を節税できる対策といえます。
 
ただし、相続等によって財産を取得した人が、被相続人から加算対象期間に暦年課税の贈与によって取得した財産があるときは、その人の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算することとなっています。
 
なお、相続税の計算上は、加算対象期間内の贈与であれば贈与税の課税の有無にかかわらず原則として相続税の課税価格に加算されます。
 
図表1

被相続人の相続開始日 加算対象期間
~令和8年12月31日 相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日から死亡の日までの間
令和13年1月1日~ 相続開始前7年以内(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間)

国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」より
 
図表1の通り、順次加算対象期間が延長され、令和13年1月1日以降は、相続開始前7年以内の贈与分が加算されることを覚えておきましょう。なお、相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合、相続開始前3年以内分を除く贈与については、贈与時の価額の合計額から総額100万円までは相続税の課税価格に加算されません。
 

まとめ

この記事では、贈与税は暦年課税として記載していますが、相続時精算課税を選択している場合もあります。また、お小遣いのように金銭での贈与のみならず、高額な物(車や時計、家電製品など)も課税対象となる場合があります。
 
さらに、贈与税が課税となると判断される場合には、待っているのではなく、自らが申告、納税する必要があります。税務署から指摘された段階では、原則、ペナルティーが課せられることを覚えておきましょう。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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