相続の話し合いで、兄が「すでに生前贈与で500万円もらっている」と暴露。過去の生前贈与はどこまで遡れるのでしょうか?

配信日: 2026.01.20
この記事は約 4 分で読めます。
相続の話し合いで、兄が「すでに生前贈与で500万円もらっている」と暴露。過去の生前贈与はどこまで遡れるのでしょうか?
相続の席で「兄は生前に500万円もらっていた」と分かると、「昔の贈与までさかのぼって調べられるの?」「相続税に影響する?」と不安になります。結論から言うと、国税(相続税・贈与税)の観点では、相続が始まった日を基準に、一定期間の贈与が相続税の計算に加算される仕組みがあります。
 
まずは、税金の計算でどこまで対象になるかを押さえ、次に必要な確認を進めましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

「遡れる範囲」は相続が始まった日で決まる

生前贈与が話題になったとき、税金でよく問題になるのが「贈与財産の加算」です。これは、相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった人から一定期間内に暦年課税(いわゆる通常の贈与)で贈与を受けていた場合、その贈与分を相続税の課税価格に足し戻すルールです。
 
ポイントは「いつ亡くなったか」で期間が変わることです。相続開始日が2026年12月31日までなら、基本的には亡くなった日からさかのぼって3年以内の贈与が加算対象です。
 
一方で制度が変わり、相続開始日が2027年1月1日〜2030年12月31日の場合は、2024年1月1日以後の贈与が加算対象に入ってきます。そして相続開始日が2031年1月1日以降になると、原則として7年以内の贈与が対象になります。
 
つまり、兄の「500万円」が何年前の贈与かだけでなく、相続開始日がいつかで結論が変わります。まずは亡くなった日(またはこれから相続が起きる見込みの時期)を基準に、「加算対象期間に入っているか」を確認するのが近道です。
 

110万円以下でも対象になることがある

よくある誤解が「年110万円以下なら贈与税がかからないから、相続税にも関係ない」という考え方です。ところが、贈与財産の加算は「贈与税がかかったかどうか」に関係なく、加算対象期間内の贈与なら対象になり得ます。つまり、毎年100万円ずつ渡していたようなケースでも、期間内なら相続税の計算に入る可能性があります。
 
また、相続開始日が2027年1月2日以後の場合、7年のうち3年を超える部分については、贈与額の合計から総額100万円までは相続税の課税価格に加算しないという調整もあります。大きな贈与が1回だけなのか、少額が複数年に分かれているのかで、影響は変わります。兄の500万円が一括なのか、分割なのかも確認しておきたいところです。
 

「その500万円」は暦年課税? 相続時精算課税?

生前贈与には、暦年課税だけでなく「相続時精算課税」という制度もあります。相続時精算課税は、一定の要件のもとで選べる贈与税の制度で、選ぶ場合は贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日の間に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。そして一度選ぶと、その贈与者からの贈与は原則として暦年課税に戻せません。
 
もし兄の500万円が相続時精算課税での贈与だった場合、手続きの状況や申告の有無によって確認ポイントが変わります。家族の記憶だけで決めつけず、「当時、贈与税の申告や届出を出していたか」「税務署に提出した控えが残っているか」を探すのが現実的です。
 

話し合いを前に進めるために、最初にやるべき確認と注意点

相続の話し合いで生前贈与が出てきたら、まずは事実をそろえましょう。いつ、誰から、いくら、どうやって受け取ったのか。振込なら通帳や入出金明細が手がかりになります。現金でも、メモやメール、贈与契約書の有無で状況が整理できます。
 
次に、贈与税の申告が必要だったのに出していなかった可能性があるなら注意が必要です。贈与税の申告は、原則として「もらった年の翌年2月1日から3月15日まで」です。期限までに申告しない、または少なく申告すると、本来の税金に加えて加算税がかかることがあります。
 
さらに、納付が遅れた場合は延滞税がかかります。税金面の不安があるときは、早めに申告状況を確認して、必要なら税務署の相談窓口を利用すると安心です。
 

まとめ

兄の「生前贈与500万円」がどこまで遡って相続税に影響するかは、相続が始まった日(亡くなった日)を基準に、加算対象期間に入るかどうかで決まります。2026年12月31日までの相続なら基本は3年、2027年以降は2024年1月1日以後の贈与が段階的に対象になり、2031年以降は原則7年へ広がります。
 
また、110万円以下でも対象になり得る点や、相続時精算課税の可能性も見落とせません。感情でぶつかる前に、時期・金額・申告の有無を淡々と確認していけば、必要な手当てが見えやすくなります。税金の不安は早めに整理し、相続の話し合いを前向きに進めていきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問