5人の孫に500万円ずつ「教育費」を用意したいと考えています。ただ、一括で渡すと親(自分の子ども)が別の用途に使わないか心配です。信託で“教育費専用”に縛ってしまうのはやりすぎでしょうか?
信託で教育費専用にするのは決して特殊な発想ではありませんが、コストや手間、制度上の注意点もあります。大切なのは「縛ること」自体が目的ではなく、家族に合った管理方法を選ぶことです。
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目次
教育費を一括で渡すと「目的外使用」が起こりやすい理由
祖父母が孫の教育費として渡したつもりでも、実際に受け取るのが親(自分の子ども)だと、家計の事情で生活費や住宅ローンなどに回ってしまうケースがあります。特に教育費は、今すぐ必要になるとは限らず、「とりあえず預かっておく」という感覚になりやすい点が落とし穴です。
また、親側に悪意がなくても、家族の支出は口座の中で混ざっていくため、結果的に教育費が目減りしてしまうことも珍しくありません。孫のために確実に残したいなら、使途を明確化し、管理方法もセットで考えることが重要です。
教育費専用にするなら「教育資金贈与信託」が現実的な選択肢
教育費目的で縛る方法として代表的なのが、金融機関で扱う「教育資金贈与信託(教育資金管理契約)」です。祖父母など直系尊属が孫の教育資金として信託すると、一定の条件のもと贈与税が非課税となる制度で、上限は最大1500万円(学校以外への支払いは500万円が上限)とされています。
この仕組みのポイントは、教育費として支払った領収書などを金融機関に提出し、確認のうえで払い出しが行われる点です。つまり「教育費として使った分しか出せない」ため、親が別用途に流用するリスクを大きく下げられます。
信託が「やりすぎ」になるケースと、注意すべきデメリット
一方で、信託は万能ではなく、やりすぎになり得る場面もあります。まず、教育資金贈与信託は手続きが必要で、払い出しのたびに証憑(しょうひょう)(領収書等)の提出が求められるため、家族の負担が増えます。
さらに制度には期限や条件があり、たとえば受贈者は契約時点で30歳未満であること、適用期間が「令和8年3月31日まで」であることなど、最新ルールの確認が欠かせません。
また、金融機関の手数料がかかることもあり、「教育費を守るためのコスト」として納得できるかの判断が必要です。家族関係によっては「信用されていない」と受け取られ、心理的な摩擦が生まれる可能性もあります。
目的別に考える「信託以外」の現実的な代替案
信託が重いと感じる場合は、もう少し柔らかい方法も検討できます。例えば、毎年110万円までの基礎控除を意識して、孫に少額ずつ贈与し、名義預金にならないよう孫名義口座で管理する方法があります(実務上は管理実態が重要です)。
あるいは、入学金や授業料などを祖父母が学校へ直接支払う形にすると、「教育費として使った証拠」が残りやすく、流用リスクも抑えられます。制度の対象となる教育資金の範囲や必要書類は整理されているため、事前確認が安心です。
「信託か現金一括か」の二択ではなく、家族の性格・距離感・管理能力に応じて、段階的に設計するのが現実的です。
孫の教育費は「縛る」より「守れる仕組み」を選ぶ
孫に500万円ずつ教育費を用意するのは立派な支援ですが、一括で親に渡すと目的外に使われる不安が残ります。その点、教育資金贈与信託なら教育費として使った分のみ払い出す仕組みで、流用リスクを抑えやすい選択肢です。
ただし手続きの手間やコストもあるため、「家族関係の摩擦を避けたい」「そこまで厳格にしなくても良い」場合は、分割贈与や直接支払いなども含めて検討するとよいでしょう。大切なのはやりすぎかどうかではなく、「孫に確実に届く方法」を家族に合う形で整えることです。
出典
一般社団法人信託協会 教育資金贈与信託
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
