親の医療費を「月7万円」立て替えていました。親が亡くなり、兄弟2人で遺産は「半分ずつ」に。今まで立て替えた分は含まれないのでしょうか?

配信日: 2026.02.03
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親の医療費を「月7万円」立て替えていました。親が亡くなり、兄弟2人で遺産は「半分ずつ」に。今まで立て替えた分は含まれないのでしょうか?
亡くなった親の医療費を、長年にわたって特定の兄弟が負担し続けるという状況が、相続において問題となることがあります。そこで、この記事では、親の医療費を立て替えていた場合、相続で考慮されるのか解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

遺産分割への立替金の反映は相続人全員の合意があれば可能

遺産分割の方法や金額は、共同相続人全員の合意があれば、原則として自由に決めることができます。
 
そのため、相続人全員が、相続人の1人が立て替えた医療費について考慮することに同意すれば、例えば今回のケースでは、毎月7万円の医療費負担のうち半分をその相続人の立替金として遺産から控除し、その分を反映させた内容で遺産分割を確定させることも可能です。
 
しかし、必ずしもすべての相続人がそのような精算方法に同意するとも限りません。もし話し合いがまとまらなければ、立替金を貸付として、親への債権者という立場から、他の相続人の相続部分に応じて返還を求めることが考えられます。
 
ただし、立替金が医療費ということですので、その親の分の医療費にかかる医療費控除を自身の所得に適用して節税を図ったりしていると、立て替えというよりも、後述する扶養義務や寄与分の問題として処理していくことになるでしょう。
 

扶養義務や寄与分の問題と判断される可能性も

注意が必要なのは、状況によっては立替金ではなく、扶養義務に基づく支出として寄与分の問題とされる可能性があることです。
 
扶養義務とは、簡単にいうと、親子は金銭的にも助け合わなければならないというものです。扶養義務は法律上当然に発生するものですので、それに基づく支出は、医療費であってもあとから返してもらったりすることはできないのです。
 
特に亡くなった親と同居していたりするような場合は、扶養義務が認められ、債権として処理することは難しい可能性が高いでしょう。
 
とはいえ、扶養義務と判断された場合であっても、その医療費への支出やその他のサポートが、被相続人の財産の維持増加に「特別の寄与」があれば、寄与分として相続財産を多めにもらうことができる場合もあります。
 
ただし、その場合であっても、必ずしも月額7万円相当の金額が、遺産分割において認められるようになるとは限らないことに注意が必要でしょう。
 

話し合いをより有利に進めるためには?

兄弟間とはいえ、大きな額のお金について、それも相続がらみの話をするのであれば、しっかりとした準備が必要です。少なくとも、医療費を負担し続けてきたことが分かる病院などの領収書を必ず保管しておくべきでしょう。
 
それがなかったとしたら、クレジットカードの明細や、立て替えについて親と話したときの記録などを整理しておくべきです。
 
そのうえで、事の経緯や時系列を冷静に説明することができるよう、話し合いに向けてまとめておくのです。感情的になりやすい相続という事柄において、双方が互いに冷静になって話し合い、建設的に話を進めていくためには、やはり誰もが納得できる物証と理路整然とした説明が必要です。
 
なお、話し合いを優位に進めていくために、弁護士をはじめとする専門家・各種機関への相談も有効でしょう。
 

まとめ

親の医療費を月7万円立て替えていても、相続では自動的に考慮されるわけではありません。
 
現実問題としては、親への貸付金、あるいは相続における寄与分として主張しなければ、ないものとされて話が進んでしまうでしょう。「家族だから仕方ない」と我慢してしまうと、後悔を残すことにもなりかねません。
 
相続人間で納得できる形で相続を終えるためにも、冷静な対話を心がけるようにしてください。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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