75歳の父から「1000万円」の“生前贈与”の話が…!「年100万円までなら大丈夫」と言いますが、もし父が急死すると「贈与税が増える」って本当ですか!? メリットと注意点を確認
本記事では生前贈与に深く関わってくる贈与税と相続税について解説します。
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年間110万円以内の「生前贈与」に“贈与税”はかからない
今回のケースにおける父親からの生前贈与は、国税庁の定義によると「財産の贈与を受けた年の1月1日現在において、18歳以上の子や孫が父母または祖父母から贈与を受けた場合」として特例贈与財産にあたります。110万円までであれば、贈与税の基礎控除額(110万円)の範囲内に収まることから、贈与税はかかりません。
なお、生活費や教育費として必要な分をその都度贈与される場合も、通常は贈与税がかからないケース(非課税財産)に該当します。
生前贈与には暦年課税と相続時精算課税の2通りの課税方式がありますが、いずれも年間110万円の控除枠(基礎控除)が設けられているため、その範囲内であれば税金の負担は生じないでしょう。
相続発生前7年以内の贈与財産は「相続財産」に加算される
生前贈与で贈与税がかからないとしても、相続税については注意が必要です。令和5年度の税制改正により、暦年課税における生前贈与の加算対象期間が、従来の3年から7年に延長されました。
これにより、相続開始前7年以内に被相続人から贈与された財産がある場合は、その贈与時の差額が相続財産に加算(持ち戻し)されます。ただし、延長された4年間に贈与された財産については、総額100万円まで加算されません。
なお、相続開始日によっても、以下のように対象となる年数に違いがあります。
・令和6年1月1日から令和8年12月31日:相続開始前3年間
・令和9年1月1日から令和12年12月31日:令和6年1月1日から相続開始日までの期間
・令和13年1月1日以降:相続開始前7年間
今回のケースのように、年間100万円ずつ贈与を受け、令和13年以降に相続が発生したと仮定します。この場合、直近3年分の300万円に加え、延長された4年分の400万円から100万円を差し引いた300万円、合計600万円が相続財産に加算される計算になります。結果として、相続税の負担が増える可能性がある点には留意しておきましょう。
孫やひ孫への生前贈与は「生前贈与加算」の対象外
相続税の計算において、過去の贈与財産が加算される(生前贈与加算)のは、主に以下のような立場の人です。
・相続によって財産を相続した人(相続人)
・遺言によって財産を遺贈された人(受遺者)
・みなし相続財産を受け取った人
通常は相続人とならない孫やひ孫への贈与であれば、原則として生前贈与加算の対象外となります。
ただし、孫が代襲相続人となっている場合や、遺言により財産を受け取る場合、あるいは死亡保険金や死亡退職金の受取人に指定されている場合などは、相続財産を取得する立場となるため、加算の対象に含まれる可能性があります。
また、「教育資金の一括贈与」や「結婚・子育て資金の一括贈与」の特例を利用している場合にも注意が必要です。贈与者が亡くなった時点で使い切れなかった残額(管理残高)があると、その残額が相続税の課税対象となるケースがあるためです。孫やひ孫への贈与であっても、必ずしも相続税がかからないとは限らない点に留意しておきましょう。
まとめ
成人した子が父母または祖父母から年間110万円以内の財産の生前贈与を受けた場合、基礎控除の範囲内であるため、原則、贈与税はかからないと考えられます。
しかし、相続税については注意が必要です。令和5年度の税制改革により、相続開始前7年以内に贈与された財産は相続財産に加算される(持ち戻し)ルールとなりました。
父親からの「1000万円の生前贈与」という申し出はありがたい話ですが、目先の贈与税だけでなく、将来の相続税への影響も含め、一度家族でしっかりと話し合ってみることをおすすめします。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
