中小企業を経営している父から「株式をどう引き継ぐか考えておけ」と言われました。事業承継税制を使えば相続税が抑えられると聞きましたが、本当でしょうか?

配信日: 2026.02.07
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中小企業を経営している父から「株式をどう引き継ぐか考えておけ」と言われました。事業承継税制を使えば相続税が抑えられると聞きましたが、本当でしょうか?
中小企業の株式承継は、相続税の負担だけでなく、会社の経営を止めないことが本質です。事業承継税制は、条件を満たせば相続税や贈与税の納税を猶予し、将来の一定の場面で免除もあり得る制度です。ただし、無条件の節税ではなく、使い方を誤ると後で税負担が戻ることもあります。制度の仕組みと、準備の勘所を押さえて考えるのが賢明です。
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事業承継税制は、税金をなくす制度ではなく、納税を先送りする制度

国税庁の案内では、法人版事業承継税制は、後継者が認定を受けた非上場会社の株式を相続などで取得した場合、一定の要件のもとで、その株式に係る相続税の納税を猶予し、後継者の死亡などにより、猶予されている税の納付が免除される制度と説明されています。
 
ここで大切なのは、基本は納税猶予であり、ずっと要件を守る前提で成り立つ点です。
 
また、制度には一般措置と、期限つきで要件が拡充された特例措置があります。国税庁のページでは、特例措置は平成30年1月1日から令和9年12月31日までの制度とされています。
 
中小企業庁の説明でも、特例承継計画を提出した事業者で、一定期間に贈与や相続で株式を取得した後継者が対象になること、猶予割合が100パーセントに拡大されることなどが示されています。つまり、使える期間や事前の手続きがあり、今からでも間に合うかを早めに確認する必要があります。
 

本当に有利になるのは、株価が高くて納税資金を作りにくい会社

事業承継で苦しいのは、会社の株式が評価上は高いのに、現金が十分にないケースです。相続税は現金で払う必要があるため、株式を相続したのに納税のために借入が必要になったり、事業に必要な資産を売ったりして、経営の足かせになります。
 
事業承継税制は、こうした場面で納税を猶予し、資金繰りを守りやすくする効果があります。節税というより、会社を続けるための時間を買う制度、と考えると理解しやすいです。
 
逆に、株価がそれほど高くない、納税資金に余裕がある、将来の事業方針がまだ固まっていない場合は、制度の縛りが重く感じることがあります。
 
要件を守れなくなった場合の扱いも踏まえ、無理に使わない判断も現実的です。特に、将来M&Aで会社を売却したい、事業をたたみたい、後継者が社長を続けられるか不透明、といった事情があると、制度設計は慎重さが必要です。
 

使うなら、早めに社内と家族で決めるべきポイント

実務上のポイントは、誰がどの株式をどの方法で引き継ぐかを、税金だけでなく経営の観点で決めることです。後継者が社長になるのか、共同経営にするのか、兄弟姉妹で株式が分散しないか。ここがぶれると、制度以前に経営が不安定になります。
 
制度を使う場合は、認定や届出などの手続きが必要です。特例措置では特例承継計画の提出が前提になるなど、準備の順番があります。
 
会社側の準備としては、株主構成の確認、定款や議決権の整理、株価の目安の把握、役員体制や事業計画の確認が現実的なスタートになります。家族側では、遺言の作成や遺産分割の方針を含めて、株式が分散しない設計を目指します。
 
そして、制度を使った後も、継続して守るべき要件や届出が発生します。雇用要件の考え方も制度内で示されており、状況に応じた対応が必要になる場面があります。後継者だけに任せるのではなく、顧問税理士や認定支援機関などと一緒に、毎年の運用を回す体制を作ると事故が減るでしょう。
 

まとめ

事業承継税制は、条件を満たせば相続税や贈与税の納税を猶予し、将来の一定の場面で免除もあり得るため、納税資金を守りたい会社には大きな助けになります。
 
一方で、期限や手続き、継続要件があり、単純な節税策ではありません。まずは後継者と株式の集約方針を決め、株価と納税資金の見通しを立てたうえで、制度が合うかを判断するのが賢明です。早めに準備を始めれば、税金の不安が減るだけでなく、会社の将来像も家族で共有しやすくなります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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