相続した実家を売りたいのですが、知人から「何もしないと数百万円単位で損をするかも。税金の控除がある」と聞きました。どういうことですか?

配信日: 2026.02.11
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相続した実家を売りたいのですが、知人から「何もしないと数百万円単位で損をするかも。税金の控除がある」と聞きました。どういうことですか?
親から相続した家を売る際、「相続空き家特例」という制度を利用することで税金の控除を受けられるかもしれません。この特例を知らずに売ってしまうと、数百万円単位で損をすることも!
 
本記事で、FPである筆者が分かりやすく解説します。
稲場晃美

お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士

「田舎の古い家だから税金は関係ない」という誤解

「二束三文だからもうからない」と思いがちですが、最大の落とし穴は「取得費(親が買った値段)」が分からないケースです。
 
当時の契約書などで購入価格を証明できないと、税制上は取得費を売値のわずか5%(概算取得費)で計算せざるを得ないことがあります。すると、仲介手数料などを差し引いても「利益(譲渡所得)」が大きく出やすく、思った以上の税負担になりがちです。
 

どれくらい違う?(概算イメージ)

仮に3000万円で売れて、取得費が不明(5%計算の150万円)だった場合を比較してみましょう。
 
・特例を使わない場合
譲渡所得は、約2850万円です。ここから約20%の税金(※1)がかかると、納税額は約570万円にもなります。
 
・特例を使える場合
最大3000万円が控除されるため、課税対象は0円です。税金も、0円になる可能性があります。
(※1)相続では親の保有期間も通算されるため、多くの場合「長期譲渡所得」に該当し、税率は約20%が目安です。
 
これらをまとめたものを、図表1に示しました。
 
図表1

図表1

 
実際の税額は、仲介手数料や測量費などの「譲渡費用」で変わります。最終的な判断は税理士等の専門家へご相談ください。
 

特例の「押さえるべき条件」3つ

大きなメリットがある分、条件は厳格です。最低限、以下の3点はチェックしましょう。


1. 建物の条件

原則、昭和56年5月31日以前(旧耐震)の一戸建てで、マンショは原則対象外
 
2. 価格の上限
売却価額が1億円以下であること
 
3. 期限と利用実態
相続開始から3年目の年末までに売ること(制度自体の期限は令和9年末まで)。また、相続後に貸したり住んだりしていると対象外になる場合がある

なお、相続人が3人以上の場合は控除上限が1人あたり2000万円になる点や、老人ホーム入所時の特例など、個別判断が必要なケースも多いため注意が必要です。
 

2024年から「売る前に解体」が必須ではないケースも

以前は「売り主が先に解体する」のが基本でしたが、2024年以降の譲渡では緩和されました。
 
売買契約等に基づき、買い主が翌年2月15日までに解体や耐震改修を行う場合でも、特例が使えるようになりました。契約時に、「買い主が期限までに解体する」旨を特約などで明確にすることがポイントです。
 

まずやること(3点チェック)


1. 建築年月日:1981年5月31日以前か?
2. 相続からの期限:3年目の年末までに売却できそうか?
3. 当時の書類探し:仏壇の引き出し、古いバインダー、金庫代わりの箱に「売買契約書」が眠っていないか?

不動産は、「いつ、どのような状態で手放すか」という選択ひとつで、最終的に残る現金の額が数百万単位で変わります。親が守ってきた大切な資産だからこそ、その価値を最大限に守る形で、次世代へつないでいきましょう。
 

出典

国税庁 No.3306 被相続人の移住用財産(空き家)を売ったときの特例
国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)
国税庁 No.3258 取得費が分からないとき
 
執筆者 : 稲場晃美
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士

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