教育資金の非課税制度を使って祖父から振り込まれた「1000万円」。先月祖父が亡くなったのですが、残り「500万円」はこのまま受け取って問題ないですか?
もっとも、契約期間中に贈与者が亡くなった場合、教育資金口座に残っている未使用分がどのように取り扱われるのかについては、誤解も生じやすいところです。本記事では、制度の概要と、贈与者死亡時の「管理残額」の取り扱いについて、分かりやすく整理します。
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教育資金の一括贈与に係る非課税制度の概要
国税庁によれば、この制度は、30歳未満の受贈者が直系尊属(父母・祖父母など)から教育資金に充てるための金銭等の贈与を受け、金融機関等と一定の契約を結ぶ場合に、1500万円まで贈与税を非課税とする特例です。
もっとも、無条件で適用されるわけではありません。受贈者の前年分の合計所得金額が1000万円を超える場合には適用できないなどの要件が設けられています。
また、教育資金として実際に支出した金額について、決められた提出期限までに金融機関等に領収書などを提出し、教育資金としての支出であることの確認・管理を受ける仕組みである点も特徴です。
契約期間中に贈与者が亡くなった場合の原則
問題となるのは、契約期間中に贈与者が死亡した場合です。国税庁のパンフレットでは、贈与者の死亡日における「管理残額」について、原則として受贈者がその贈与者から相続等により取得したものとみなす、と説明されています。
管理残額とは、贈与者の死亡日における非課税拠出額から、教育資金として実際に支出した金額などを差し引いた残額のうち、一定の計算をした金額を指します。今回のケースでいえば、1000万円を拠出し、そのうち500万円が未使用で残っている場合、基本的にその500万円が管理残額に該当するでしょう。
この管理残額は、贈与者の死亡時点において、原則として相続財産として受贈者が取得したものとみなされる可能性があります。したがって、「教育資金の非課税制度としてもらったお金だから、贈与者が亡くなっても非課税のまま受け取れる」という整理にはならない点に注意が必要です。
例外として相続財産とみなされない場合
もっとも、すべての場合に管理残額が相続財産とみなされるわけではありません。国税庁によれば、贈与者の死亡日において、受贈者が23歳未満である場合や、学校等に在学している場合、教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受けている場合などには、相続等により取得したものとみなされない取り扱いが設けられています。
ただし、教育資金の拠出時期や贈与者の相続財産の規模(相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるかどうか)などによって管理残額の取り扱いが変わるため、具体的な適用可否については個別事情の確認が不可欠です。
実務上確認すべきポイント
今回のケースにおいて、祖父が亡くなった場合、まず金融機関等に対して贈与者死亡の事実を届け出る必要があります。そのうえで、死亡日時点の管理残額を確認します。
次に、受贈者の年齢や在学状況、教育資金の拠出時期などを整理し、相続税の課税対象となるかどうかを検討します。管理残額が相続財産とみなされる場合でも、相続税の基礎控除額の範囲内であれば実際の納税が発生しないこともありますが、その判断は相続全体の財産状況などによって左右されます。
なお、教育資金口座にかかる契約が終了した時点で残額がある場合には、別途贈与税の課税関係が生じることもあるため、贈与者死亡時の取り扱いとは区別して理解する必要があります。
まとめ
教育資金の一括贈与に係る非課税制度は、一定の要件を満たせば最大1500万円まで贈与税が非課税となる特例です。しかし、契約期間中に贈与者が死亡した場合、教育資金口座に残っている未使用分は、原則として相続等により取得したものとみなされる可能性があります。
一方で、受贈者が23歳未満である場合などには例外も設けられており、教育資金の拠出時期や相続財産の規模などによっても取り扱いは異なります。
制度の原則と例外を踏まえ、まずは金融機関等で管理残額を確認し、相続全体の財産状況とあわせて整理することが重要です。必要に応じて税務署や税理士などの専門家に相談しながら、適切に手続きを進めることが望ましいでしょう。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(1~3ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
