自動車保険の等級別料率制度って、どういう仕組み?

配信日: 2020.04.17

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自動車保険の等級別料率制度って、どういう仕組み?
自動車事故を起こして加入中の自動車保険を使ったら、等級が下がり更新後の保険料が高くなった。こんな話を聞いたことがあるかもしれません。
 
ドライバーのなかには「そんなの当たり前じゃん」と思う方もいるでしょう。しかし、一度も事故を起こしたことがない人にとって、自動車保険の等級制度は縁遠い存在のことも。階級制度について確認しておきましょう。
 
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

ノンフリート等級別料率制度とは

個人のご家庭では、自動車保険を「ノンフリート契約」で契約をしている方が多いと思います。ノンフリート契約とは、所有・使用する自動車の台数が9台以下のときの自動車保険の契約のこと。
 
ノンフリート契約には、等級別料率制度が適用されます。事故を起こさなければ等級が最大20等級まで、毎年1等級ずつ上がることで、自動車保険の保険料が徐々に下がっていく仕組みになっています。ただし、事故を起こしてしまうと等級が下がるため、割引率が低下し、保険料は上がります。
 
初めて自動車保険に入る場合、等級は6(S)等級から始まります。※11等級の契約者が2台目以降の自動車に対し新たに自動車保険に加入する場合は7(S)等級から。
 
6(S)等級の割引率は19%で、ここを基準に、事故がなければ、最大で20等級まで毎年1等級ずつ割引率が上がっていくようになっています。※20等級の割引率は44%です。

〇等級別割引率(例)


※一般社団法人 日本損害保険協会「損害保険Q&A 自動車保険の等級について教えてください」
 
基本的には無事故の行で確認してください。6(S)等級の割引率19%を起点に、7等級、8等級と毎年無事故の場合、割引率はそれぞれの等級に応じて、7等級で30%、8等級で40%と徐々に上がっていき、20等級に達すると、割引率は44%になります。
 
それでは、事故を起こした場合は、等級はどのようにカウントされるのでしょうか。

事故を起こした場合の等級ダウンと割引率

自動車事故を起こした場合、等級が下がり、それにともない割引率も下がります。ここでまず覚えておきたいのは、事故の内容によって等級の下がり具合が異なるという点です。保険会社によって細かい違いがありますが、おおよそ、次のようになっています。

〇ノーカウント事故

ノーカウント事故とは、等級が下がらない事故のこと。例えば、人身傷害保険や搭乗者傷害保険の対象になる事故、台車やロードサービスを使用した場合、弁護士費用特約や個人賠償責任保険の対象になる事故などが該当します。
 
ノーカウント事故の場合、等級が下がらないため、割引率の低下もありありません。

〇1等級ダウン事故

1等級ダウン事故は、例えば、火災・爆発、台風・竜巻・洪水高潮、落書き・いたずら、物の飛来・落下、騒じょうや労働争議による暴力・破壊行為、盗難などにより車両保険を使った場合です。
 
簡単にいうと、これらがもとで自動車が破損などをし、車両保険で修理するといった場合です。ただし、自動車が衝突・接触、転覆・墜落した場合は、1等級ダウン事故にはなりません。

〇3等級ダウン事故

3等級ダウン事故は、ノーカウント事故にも1等級ダウン事故にも該当しない事故をいいます。対人賠償・対物賠償、自損事故による傷害、自動車が衝突・接触、転覆・墜落した場合などが当てはまります。
 
3等級ダウン事故を起こすと、文字通り、等級が3等級下がります。割引率も大きく低下し、保険料がかなり高くなります。
 
先ほどの等級別割引率(例)をもとに、割引率がどうなるかを確認してみましょう。

〇等級別割引率(例)


※一般社団法人 日本損害保険協会「損害保険Q&A 自動車保険の等級について教えてください」
 
例えば、13等級で3等級ダウン事故を起こした場合、等級は3等級下がって10等級になります。13等級の割引率は、無事故の行を見ると49%です。事故を起こして10等級になると、割引率が23%になっています。
 
つまり、49%の割引率が23%に落ち込むため、3等級ダウン事故を起こすと、自動車保険の保険料は次の算式に従い、1.51倍になってしまいます。
 
(1-49%)/(1-23%)=1.51
 
そして、13等級に戻るまでの間の割引率は、10等級で23%、11等級で25%、12等級で27%となります。13等級に戻って始めて、もとの49%に回復するという仕組みです。

〇13等級で事故があった場合の例


※一般社団法人 日本損害保険協会「損害保険Q&A 自動車保険の等級について教えてください」

まとめ

ノンフリート等級別料率制度は、自動車を買い換えても、等級は引き継がれます。
 
自動車事故がないに越したことはありませんが、どのような事故がノーカウントに該当するのか、1等級ダウンになるのか、3等級ダウンになるのかは、参考までにチェックしておくといいかもしれません。
 
参照:※一般社団法人 日本損害保険協会「損害保険Q&A 自動車保険の等級について教えてください」
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)


 

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