更新日: 2020.06.12 その他保険

「指定代理請求特約」について考えておきたいこと

執筆者 : 大泉稔

「指定代理請求特約」について考えておきたいこと
保険契約において、被保険者が病名を告げられていない、あるいは認知症などで保険金請求の手続きが困難なとき、被保険者に代わって、保険金請求の手続きを行うことができるのが指定代理請求人です。
 
保険を契約するときに、指定代理請求人を定めた指定代理請求人特約を付けることができます。

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大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

「認知症」と診断を受けたときの一例

「認知症」と診断を受けたときに、1000万円の一時金を受け取ることができる認知症保険を契約している被保険者がいます。この保険には、指定代理請求人を子(娘)とする指定代理請求人特約を付けています。
 
被保険者が認知症と診断を受け、一時金1000万円を請求することになりました。しかし、被保険者は認知症の進みが早く、保険金請求の手続きを行える状況にはありません。こういったときに、指定代理請求人となっている娘が登場します。

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指定代理請求人になったことを本人が知らなかった場合

前述の一例において、もしも指定代理請求人になっていることを娘が知らなければ、あるいは娘が先述の契約の存在そのものを知らなければ、保険金請求に至らない可能性が出てきます。
 
なぜかというと、保険を契約するときには、契約者と被保険者、そして保険募集人とで契約を行いますが、保険を契約する席に指定代理請求人が不在でも保険の契約ができるからです。
 
指定代理請求特約付きの保険契約を結び、契約の際に指定代理請求人が不在の場合、保険証券が届いたら、契約者か被保険者のどちらかから指定代理請求人に保険契約のことを話しておくべきでしょう。
 
また、ただ話をしておくだけではなく、指定代理請求人には保障内容をしっかり理解してもらう必要があります。

指定代理請求人による保険金請求は書類が増えます

では、前述の例において、娘が指定代理請求人になっていることを知っていて、同じく保障内容も把握できていたとします。
 
そして、娘が被保険者に代わって保険金請求することになりました。その場合、被保険者本人が保険金請求する場合に比べると「被保険者が保険金請求をできない事情の届出書」や「被保険者と指定代理請求人との関係を示す書類(=住民票謄本など)」など、保険会社に提出するべき書類が増えます。

保険金は被保険者の口座に振り込まれる

前述の例でいうと、保険金を請求するのが指定代理請求人の娘だとしても、保険金1000万円が入金されるのは被保険者名義の金融機関の口座です。被保険者は認知症が進んでおり、金融機関での手続きは困難です。
 
だからといって、保険金を指定代理請求人名義の金融機関口座で受け取ることはできません。被保険者に代わって指定代理請求人ができる手続きは、あくまでも保険金請求だけなのです。

指定代理請求人に、もし兄弟がいれば

前述の例のケースでは、娘が指定代理請求人でしたが、その娘に兄弟がいたらどうなるでしょうか?
 
兄弟がこの保険契約の存在を知らなかった場合や、契約を知っていたとしても指定代理請求人のことを知らなかったりした場合など、もしかしたら保険金をめぐり、兄弟の間でトラブルが起きてしまうかもしれません。
 
こういったトラブルを避けるため、死亡保険金の受取人は複数名を指定できます。しかし、指定代理請求人に指定することができるのは1人だけです。

指定代理請求人の生活にも配慮を

指定代理請求人になっている娘のほうが先に認知症になってしまったり、先に亡くなったりするということがあるかもしれません。
 
また、娘の海外居住が決まり、日本に頻繁に帰られないという可能性もあります。こういった場合も想定し、契約者や被保険者だけではなく、指定代理請求人のライフプランやライフイベントに応じた見直しが必要になることもあります。
 
また、本稿の例では指定代理請求人は娘でしたが、もし、指定代理請求人が配偶者であれば、離婚してしまった場合などにも見直しが必要になります。

成年後見人の選任

ここまで挙げた指定代理請求人にまつわるトラブルを解消する方法として、成年後見人を選任するという方法があります。成年後見人は、被保険者に代わって保険金請求を行うことが可能ですし、金融機関の口座に振り込まれた保険金を引き出すこともできます。
 
兄弟の間でトラブルが生じることが考えられるのであれば、弁護士などの専門家に成年後見人を依頼することも視野に入れましょう。
 
では、もし成年後見人を選任した場合の指定代理請求人の立場は、どのようになるのでしょうか?
 
指定代理請求特約は、被保険者に成年後見人等の法定代理人がいない場合に限って利用できる旨が約款などで記載している場合があります。そもそも成年後見人には法的な裏付けがありますが、指定代理請求特約は約款などに記載があるだけで、法的な決まりはありません。

まとめに代えて

指定代理請求特約は、例えば医療保険やがん保険などの、保険金の金額がそれほど多くない保険に有効だと筆者は考えます。
 
しかし、本稿で例に挙げたように、受け取る保険金が1000万円ともなると、さまざまなトラブルを回避するために、成年後見人を選任するほうが良いかもしれません。被保険者が元気なうちに、保険の見直しと併せて指定代理請求特約について考えてみることをお勧めします。
 
(参照)
公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に関するQ&A」
一般社団法人 生命保険協会「自分で請求できないときは?」
一般社団法人 日本損害保険協会「損害保険の「代理請求人制度」について教えてください。」
かんぽ生命「指定代理請求制度」
一般社団法人 全国銀行協会「Q.もし認知症になってしまったら・・・自分の資産管理、家族に迷惑をかけたくありません」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役


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