公開日: 2021.01.27 保険

えっ、保険証券に載っていない人が保険金を受け取れるの? 遺言による受取人の変更について

執筆者 : 大泉稔

保険証券に載っている死亡保険金の保険金受取人。受取人を変更する場合、基本的には、契約者が被保険者の同意を得て手続きを行います。
 
ところが、死亡保険金の受取人を変更の手続きをせずに変える方法があります。どういうことでしょうか?
 
大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

死亡保険金の受取人は遺言で変更することができる

死亡保険金の受取人を遺言で指定することができます。受取人の変更にあたり保険会社の手続きを行う時に、受取人の同意を得る必要はありません。
 
例として、以下のような生命保険の契約があったとしましょう。

生命保険会社:X
契約者:Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:Bさん(保険金受取割合100%)

Aさんは遺言を作成することにし、その内容に「死亡保険金の受取人をCに変更する」としました。
 
遺言の作成では、推定相続人(=相続が現実になった時には相続人になる)の同意は不要です。特に秘密証書遺言の場合、公正証書遺言は2人以上の証人が必要ですが、推定相続人は証人になることはできません。
 
つまり、遺言によって受取人を変更する場合も同じです。先述の例でいうと、Cさんが死亡保険金の受取人になったという事実は、Aさんの遺言を見て初めて知ることとなります。
 
なお、Aさんが遺言によってBさんからCさんに受取人を変更した場合、生命保険会社もその事実を知る由もありません。つまり、Aさんが契約者・被保険者である生命保険の契約における保険金受取割合100%の受取人として、BさんとCさんの2人が存在することになってしまうのです。
 

相続が発生したら

Aさんに相続が発生した場合、どのような展開になるのでしょうか?
 
BさんとCさんの両方が、それぞれ受取割合100%の死亡保険金を受け取ることができるのでしょうか? それは、できません。
 
では、BさんとCさんそれぞれが受取割合50%の死亡保険金(=2人合わせて受取割合100%の死亡保険金)を受け取ることになるのでしょうか? そうではありません。答えを言葉飾らずに言えば、BさんとCさんのいずれか、早い者勝ちということになります。
 
では、保険金の請求手続きに違いはあるのでしょうか。
 
Bさんの保険金請求は、保険金請求書や死亡診断書、本人確認書類、保険会社によっては戸籍抄本の他、状況によっては他に必要な書類などを生命保険会社Xに送ります。基本的に、この手続きについてはCさんも同様です。
 
ただし、Cさんは上記に加え以下の手続きを踏む必要があります。
 
保険法73条では、『保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない』と書かれています。
 
保険者とは、先述の例でいうと生命保険会社Xです。Cさんが保険契約者、つまりAさんの相続人となった場合、Cさんが生命保険会社Xに遺言書を送付して通知する必要があります。
 
ちなみに、保険金の支払い手続き後、遺言書の原本は返却されます。
 

保険金をスムーズに受け取ることができるのか?

保険金請求の手続きにおいて、スムーズに受け取ることはできるのはBさんのほうでしょう。Bさんは、保険金の請求書を準備するにあたり、他の相続人に諮ることなく、必要な書類を準備できるからです。また、Bさんは(死亡保険金に限っては)遺言の中身を知らなくても良いのです。
 
しかしCさんのほうは、遺言を見た時に初めて、自らが死亡保険金の受取人であることを知ります。そして、遺言の原本は(原則として)一通しか存在せず、その一通しか存在しない遺言を生命保険会社Xに送らなくてはなりません。当然、他の相続人に諮る必要があるでしょう。
 
生命保険会社Xは、BさんでもCさんでも、保険金を支払ってしまえばその役割を終えることになるので、相続においてこれ以上の関わりを持つことはできません。
 
遺言によって保険金受取人を変更することは、受取時のトラブル・相続トラブルを生じさせてしまう可能性を秘めています。こういった事態をしっかり考慮して、検討・手続きを行うことをおすすめします。
 

まとめに代えて

遺言による保険金受取人の変更は、2010年6月に施行された保険法によります。施行前に契約が成立している生命保険では、遺言によって受取人を変更できないこともありますので、生命保険会社に確認する必要があります。
 
前述のとおり、相続が発生した時に「死亡保険金の受取人を遺言で変更した」がゆえに、相続トラブルに発展してしまう可能性があります。保険金受取時・相続時のさまざまな状況を想定し、しっかりと検討しましょう。
 
(参考)
第一生命「ご提出いただく書類の例」
明治安田生命「死亡保険金のご請求/必要書類」

 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
 

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