50代の生命保険の見直し。保障はどのくらい必要ですか?
配信日: 2019.03.25 更新日: 2021.10.08
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
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生命保険の種類
保険は万一のリスクに備えるものですが、死亡保障・医療保障の保険には以下のような種類があります。
☆世帯主に万一のことがあったときの保険(死亡保障)
終身保険:一生涯保障が続く
定期保険:保険期間を定めた保険(掛け捨て)
収入保障保険:死亡保険金を、毎月もしくは毎年一定額受取る保険(掛け捨て)
☆病気やけがに備える保険
医療保険:入院や手術に備える保険
がん保険:がんに備えた保険 入院や手術
介護保険:介護にかかる費用に備える保険
それぞれを単独で加入することも出来ますが、組み合わせて加入する場合も多いです。例えば「主契約」を終身保険、「特約」で定期保険と医療保険を付加した組み合わせです。以前はこの形が一般的でした。
定期保険は、60歳までなど一定期間内の「万一」に備えた保険です。モデルケースになったのは、子どもが2人いる4人家族です。
大黒柱である夫が亡くなった場合、末子が社会人になるまでの保障は手厚くしておかなければ、ということで設計されています。死亡保険に加入する時、保障額を試算したと思います。必要額の計算式は以下のようだったのではないでしょうか。
<万一の時に必要な金額>
(1)末子が独立するまでの生活費
現在の基本生活費×70%×末子が独立するまでの年数
(2)末子が独立した後の配偶者の生活費
現在の基本生活費×50%×(89-末子が独立時の配偶者の年齢)
(3)子どもの教育費
(4)葬式代などの費用
(1)~(4)の合計金額が、「今後出ていく費用」の概算となります。必要保障額は、ここから「入ってくる金額」と貯蓄額を差し引きして求めます。「入ってくる金額」は、勤務先からの死亡退職金・遺族年金・妻の老齢年金、老齢厚生年金などです。
定期保険の期間を60歳や65歳で設定していて、予定通りに末子が独立すると上記の(1)と(3)は必要がありませんので、手厚くした部分の保障がなくなっても大丈夫ということになります。一般的な組み合わせが、理にかなっていたと言えます。
最近は、定期保険に代えて収入保障保険を選ぶ人が増えています。これは定期保険と同様に期間を設定する保険です。
基本的には、毎月決まった金額をお給料のように受け取る仕組みになっています。契約後の年数の経過に伴い、受取る保険金の総額は減っていきますので、定期保険に比べて保険料が安くなります。
保険を見直すときのポイント
さて、冒頭の50歳代の方からの、保険の見直し相談です。
定期保険の終了期間が近づき、以降の死亡保障は終身保険だけになります。金額はかなり少額になります。今後の死亡保障はいくら必要か? 再度考えてみることが大切です。保障額が不足する場合は、定期保険を更新することも出来ますが、保険料は高額になります。
上の例のように子どもは独立しても、自分にもしもの時、経済的に困る人は誰? を明確にすることが第一です。配偶者や老親は大丈夫? 残す資産で足りるかがポイントです。
(1)保険料を払って死亡保障は残したい?
保険料の支払をせずに保障を残す方法として、払い済み保険を検討することも一案です。
(2)貯金もあるし、保険は解約しても良い?
主契約を解約した場合、特約として契約している医療保険なども解約することになります。もし解約するのなら、その前に内容を確認することは重要です。病歴があり、新規に医療保険に加入出来ないこともあります。
個々の家庭の事情で、答えは様々です。生命保険は受取人を指定できることや非課税の枠があることから、相続対策にも有効とされています。原点に戻り「この保険は何のために必要なのか」を考えてみてはいかがでしょうか。
※2019/03/26 内容を一部修正させていただきました。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
相続診断士