災害が起きたときのために、火災保険の水災以外の補償について知っておこう
配信日: 2020.01.25 更新日: 2023.09.13
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
目次
火災
火災保険でいう火災とは「その火勢が自力で拡大しうる状態に至ったもの」をいいます。アイロンで服を焦がしただけでは火災になりませんが、それがカーテンに燃え移り家を燃やしてしまうようになったら、火災保険の支払い対象の事故になります。
火災保険で担保される火災事故は失火、隣家からの延焼、放火などですが、それに付随した延焼防止のための家屋の破壊、消防車の消火活動による水濡れ損害なども、保険で求償することができます。
落雷
落雷は雷雲と地面や水面との間に生じる放電作用のことをいいます。保険の対象が直接被雷しその衝撃により損害を受けた場合、または保険の対象の近くに落雷しその異常電流により保険の対象が損害を被った場合などが保険でカバーされる事故になります。
例えば、落雷により家の屋根に穴が開いた、落雷による異常電流でテレビが壊れた等の場合です。いずれの場合も、落雷と保険の対象の間に生じた損害の間に因果関係があることが条件となります。
破裂・爆発
破裂・爆発とは気体または蒸気の急激な膨張を伴う破壊またはその現象をいい、第三者からの被爆損害も含まれます。水道管の凍結による破裂や単なる亀裂、変形、ひび割れ損害はここでいう破裂・爆発には含まれません。例えば、「ガス漏れをしていたために、電気をつけたら爆発した」という場合は保険の対象事故となります。
風災・雹災・雪災
風災とは台風・旋風・竜巻・暴風雨等による損害をいい、ここでは洪水・高潮による損害は含まれません。雹災は、雹またはあられによる損害です。
雪災は豪雪による雪の重み・落下等による事故、または雪崩による損害をいい、融雪水による漏入や凍結、または除雪作業による損害は含まれません。ただし洪水・高潮・融雪洪水は、水災として補償の対象になります。
最近は台風だけでなく竜巻が発生したり、都会でも雪害により駐車場の屋根が崩れたりと、これまでにあまり聞かなかった災害や事故が起こっています。これらは補償の対象となります。
建物内部で生じた損害については、建物の外部が風災・雹災・雪災によって破損したために生じた損害に限られ、建物の外部の損傷を伴わない事故は補償の対象外となります。例えば、窓やドアの閉め忘れによる吹き込みによる損害は補償されません。
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突・接触・倒壊
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突・接触・倒壊による損害をいい、風水災によるものを除きます。例えば、飛行機の墜落、車両の飛び込み、ボールや小石の投げ込みによる窓ガラスの破損などが該当します。
水濡れ
ここでいう水濡れ損害とは、(1)給排水設備(スプリンクラーを含む)に生じた事故、または、(2)被保険者以外のものが占有する戸室で生じた事故、それに伴う漏水放水等による水濡れによって生じた損害をいいます。以下は一例です。
(1)については、給水管が破裂して室内が水浸しになり、床材が水濡れにより損傷した場合などが当てはまります。
(2)の事故は、被保険者の自宅外で生じた事故による損害であれば補償の対象となります。例えば、マンションの上の階で蛇口の閉め忘れにより被保険者の自宅が水濡れ損害を受けた場合は対象になります。なお、給排水設備自体の損害の修繕費用は補償の対象外です。
騒擾およびこれに類似の集団行動または労働争議に伴う暴力行為または破壊行為
騒擾(そうじょう)およびこれに類似の集団行動とは、群衆または多数の者の集団行動などによって数世帯以上またはこれに準じる規模にわたり平穏が害される状態、または被害が生じる状態で暴走にまでは至らないものをいいます。
自宅の前で集団による破壊行為が発生し、自宅の玄関や外構が破壊されてしまった場合がこれにあたります。
盗難
盗難とは、強盗・窃盗またはこれらの未遂をいい、これらによって生じた盗取、損傷または汚損の損害をいいます。
具体的には、保険の対象が建物であれば、建物侵入の際に窓ガラスやカギを壊された場合、保険対象が家財であれば、家財道具の盗難のほか、通貨または預貯金証書の盗難も対象になります。現金や預貯金通帳などの場合は通常それぞれ20万円、200万円等の限度額がついています。
まとめ
火災保険の補償範囲に関する説明をしてきましたが、火災保険が単なる火事保険ではなく、住宅をさまざまな事故から守る総合財産保険であることが分かっていただけたと思います。
地震・津波は補償対象外とはいえ、火災保険の補償の対象となっている原因は、落雷や風水災のような天災だけでなく、水濡れ、騒擾、盗難という人為災害にまでおよんでいます。不慮の事故に備えるためには、火災保険が必要であることをお分かりいただけたと思います。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー