更新日: 2020.05.09 その他保険
東京都でも自転車損害賠償保険の加入義務化へ! 我が家はどうすればいいの?
保険加入義務化の流れは、すでに全国の自治体に広がっており、東京近辺では埼玉県(2018年4月から)、神奈川県(2019年10月から)などは先行して義務化が始まっています。
そこで、保険加入の義務化の開始にあたって、第三者への賠償責任のための個人賠償責任保険の特徴や加入時の注意点などについて、あらためて確認してみましょう。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
個人賠償責任保険とは?
個人賠償責任保険とは、個人が日常生活のなかで第三者に対して事故(対人賠償、対物賠償)を起こした場合に負うこととなった損害賠償責任を補償するものです。
この保険は、単独で加入するケースは少なく、自動車保険、火災保険、傷害保険など他の保険に特約として付帯して契約することが一般的です。特約の保険料も極めて安価な場合が多く、月々100円~200円程度となっています。
また、世帯ごとに全員が個別に加入する必要はなく、世帯の1人(生計維持者など)が加入していれば、同一生計のご家族も補償の対象となります。そのため、お子さんが自転車事故を起こした場合でも対象となります。
この保険の補償対象者は以下の通りです。
≪個人賠償責任保険の補償対象者≫
(1)被保険者本人
(2)その配偶者
(3)本人または配偶者と生計を一にする同居の親族
(4)本人または配偶者と生計を一にする別居の未婚の子
このように、同居していない未婚の子どもについても補償対象となるため、進学などで東京暮らしを始めたお子さんも対象となります。重複して保険に加入しないようにしましょう。
必要のない保険には入らないように
自家用車の自動車保険の特約や自宅の火災保険の特約などで、すでに個人賠償責任保険に加入済みの場合が往々にしてあります。
個人賠償責任保険の保険金は、たとえ複数の保険に加入していても実際の損害額しか支払われないため、重複加入は無駄になるケースがほとんどです。保険料そのものは決して高くはないですが、必要のない保険への加入は避けるべきでしょう。
よくある加入パターン
あらためて調べてみると、知らない間に個人賠償責任保険に加入している場合があります。その代表的なパターンを見てみましょう。
(1)クレジットカードに付帯されている
クレジットカードを作った際に、個人賠償責任保険が付帯されているケースがあります。
無料で補償が付帯されている場合もありますが、最近では別途保険料を負担して加入するパターンが多くなっています。比較的安価な保険料で加入できるので、クレジットカード会社のサイトなどで確認してみましょう。
(2)賃貸でマンションやアパートにお住まいの方
賃貸住宅の契約の際には、火災保険への加入が必須となっているケースがほとんどです。
その際には個人賠償責任保険に加入している場合が多くあります。賃貸住宅の場合には、家財に火災保険をかけますが、近隣への賠償のために個人賠償責任保険が重要となるのです。
ただし、多くの場合は補償額があまり高く設定されていないため(1000万円~2000万円程度)、別途確認が必要となるでしょう。
(3)分譲マンションにお住まいの方
ほとんどの分譲マンションでは管理組合が共用部分に対する火災保険に加入しています。
その場合に、区分所有者などを対象とした個人賠償責任保険の特約を付けているケースがほとんどです。これは、マンションで比較的多く発生する漏水事故などの所有者間でのトラブルに対処するために必要となります。
ただし、賃貸の火災保険付帯と同様に補償額が十分でない場合があることや、あくまでも管理組合がマンション全体として加入している保険であるため、個人的なトラブルや事故の内容などを管理組合に報告する必要が生じることがあります。
まとめ
近年の自転車事故の賠償金額は高額となっています。
小学生が自転車で衝突した女性が寝たきりとなった事故の裁判では、約9500万円の賠償を命じる判決が下されました。
まずは、ご自身がご家族を守るために加入している保険の内容を確認し、重複加入のないように気を付けましょう。また、補償額が十分であるかも確認しましょう。
加えて、個人賠償責任保険は、あくまでも第三者への賠償責任を補償するものですから、ご自身のケガのリスクは補償されませんので、傷害保険や生命保険への加入が別途必要となることもお忘れなく。
出典
※1 東京都都民安全推進本部「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」
埼玉県「自転車損害保険等の加入義務化について」
神奈川県「神奈川県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」
一般社団法人 日本損害保険協会「個人賠償責任保険」
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー