IT大手企業じゃ当たり前?Google、楽天やGMOの無料社食、実は給与課税がされているってご存知?
配信日: 2018.05.17 更新日: 2019.08.29
読者の皆さんも、一度はこのような情報を目にしたことがあるのではないでしょうか。食事の内容も充実しているようですし、無料で食事ができるなんてうらやましい限りです。
しかし、無料と言いつつ、食事の支給は実は給与にあたります。したがって、給与課税されるということはご存知でしょうか。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
無料社食の豪華さはホテル並み
Googleでは朝・昼・晩、3食すべてが無料で、専属のシェフが質の高い料理をビュッフェ形式で提供してくれるようです。フルーツやスイーツまでって、まるでホテルのビュッフェのよう。
また、食堂とは別に、コーヒーやジュースなどの飲み物やお菓子が用意されているスペースもあり、いたれりつくせりです。
GMOインターネットグループでは、朝はモーニング、昼はビュッフェ、夕方はカフェが無料で提供され、金曜の夜になると社食はバーに変化するそうです。食事内容については、管理栄養士による健康的な料理が提供されています。
しかし、GMOの社食の魅力は食事だけではありません。社内の託児所と連携し、子どもと一緒にランチができるよう、子ども用の椅子が完備されているのです。
筆者も子どもを保育園に預けていますが、会社で子どもと一緒にランチができるとは、想像の域を超えます。子育てに配慮した会社であることが十分に伝わりますね。
無料とはいえ、給与課税がされている
GoogleにしろGMOにしろ、そのほかにも社食が無料の会社はありますが、いずれにしても外部から見ればうらやましい限りです。しかし、これらの食事代は無料ではあるものの給与課税がされます。
会社が従業員に食事を支給した場合、給与課税されない要件は下記の2つです。以下は、国税庁ホームページに明記されています。
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役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
1.役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
2.次の金額が1カ月当たり3500円(税抜き)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税されます。
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「食事の価額」とは、仕出し弁当か会社が食事を作っているのかによって計算方法は異なりますが、いずれにしても社員が無料で社食を利用できるのであれば、給与課税されるわけです。
逆にこの2つの要件にあてはまれば、給与課税されません。例えば、食事の価格が1万円の場合、従業員の負担が7000円なら2つの要件にあてはまりますので、給与課税されません。1万円の食事に対して7000円の自己負担ですと、それほど魅力的な話ではないですね。
給与課税されるということは、所得税や住民税の支払いが発生しますし、社会保険料も高くなる可能性があります。
このような従業員への負担に対して、無料社食を提供している会社は、どのような対応しているのかはわかりませんが、給与課税によって負担が増すのであれば、そこまでうらやましいこととは言えないかもしれませんね。
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者