更新日: 2019.08.20 その他暮らし

未成年者にお酒を飲ませる行為は犯罪ではないのか

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 池田理明

未成年者にお酒を飲ませる行為は犯罪ではないのか
芸能人が飲み会で未成年者に飲酒をさせた、同席していた、というようなニュースを度々耳にします。
 
芸能人の場合は謹慎処分、番組やCMの降板といった対応がなされますが、一般人の場合はどうなるのでしょうか。
 
そもそも、大人が未成年者に飲酒をさせる行為に対して、逮捕されたと聞いたことはありません。これはなぜなのでしょうか。順を追ってみてみましょう。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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池田理明

監修:池田理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。

未成年者に飲酒をさせる行為、または同席していたにも関わらず制止しないことは、罪にではないのでしょうか。東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。

未成年者の飲酒は、「未成年者飲酒禁止法」という法律で規制されています。
 
ここには、20歳未満の飲酒を禁止するといった規定をはじめとして、飲酒する本人以外にも親権者などの監督者の責任が規定されています。
 
「未成年者に対して親権を行う者もしくは親権者に代わりてこれを監督する者未成年者の飲酒を知りたるときはこれを制止すべし」(未成年者飲酒禁止法第1条2項)
 
この規定は、親権者、監護権者等が未成年者の飲酒を知ったときには、止めさせる義務があるということを規定しています。
 
これに加えて、未成年飲酒法第1条3項、同4項によって、酒類を販売・提供する店側も未成年者に対する酒類の販売・提供が禁止され、相手が未成年者かどうかを確認するために何らかの措置をとることまで義務付けられています。
 
これらの規定に反した場合、罰則としては、未成年者に酒類を販売提供した場合は50万円以下の罰金となり、親権者、監護権者が未成年者の飲酒を制止しなかった場合は科料(1000円以上1万円未満)となります。
 
ちなみに、飲酒をした未成年者本人が罰則を科せられることはありません。
 
未成年者が飲酒をすることは、刑罰等の対象にはなりませんが、違法行為にはあたります。そのため、周囲の大人が止めるべきとされています。
 

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「親権者」「監護権者」とは誰を指す?知人や先輩後輩の関係ならどうなのか

前述のとおり、未成年者飲酒禁止法には「親権者、監護権者は未成年者の飲酒を制止すべし」と規定されています。では、親権者、特に監護権者とは具体的にどのような人を指すのでしょうか。
 
親権者とは、未成年の子に対して親権を行う者です。民法第818条によると、「成年に達しない子は、父母の親権に服する」「子が養子であるときは養親の親権に服する」と規定されています。
 
次に、監護権者とは何でしょうか。
 
監護権者とは、監護権を持つ人を指します。監護権は親権の一部としてこれに含まれており、子供と共に生活し、日常の世話や教育を行う権利のことです。
 
多くの場合、未成年者の子供を持つ親権者が監護権を持つのですが、未成年の子供を持つ夫婦が離婚した場合などに、親権をもたない方の父母が監護権者に指定されたり、例外的には、祖父母が監護権者に指定されたりする場合があります。
 
上記をまとめると、「親権者、監護権者は未成年者の飲酒を制止すべし」は、違法行為をしないように未成年の子供のそばで生活しながら子供の世話や教育をする者が対象ということになります。
 
つまり、いわゆるサークルの先輩後輩、知人友人程度の関係である場合、未成年者に飲酒を勧め違法行為を誘発させた、あるいはその場に同席しながら見過ごしていたとしても、未成年者飲酒禁止法に違反して、罰則を受けることはないということになります。
 
しかし、モラルの問題でいえば話は別です。未成年者の飲酒が法律違反であると知りながら飲酒を促した場合や制止しなかった場合は、社会的にも道義的にも大きな問題になるでしょう。
 

<まとめ>未成年者にお酒を飲ませる行為は罪に問えないが、絶対にしてはいけないこと

大人(未成年者の先輩、知人、友人など)が未成年者に飲酒をさせたり、その場に居合わせているにも関わらず制止しなかったとしても、罪に問えないということが分かりました。
 
ただし、それが親権を持つ親だったり、監護権を持つ祖父母だったりした場合は、20万円以下の科料に処せられることがあるようです。
 
また、未成年者の年齢を確認せずお酒を提供したお店は50万円以下の罰金に処せられることがあるようです。
 
いくら罪にはならないとはいえ、絶対に未成年者に飲酒をさせてはいけません。
 
心も体も未成熟な子供が飲酒をすると、心身ともに悪影響が及びます。アルコールに慣れていないため、「急性アルコール中毒」につながる危険性もあります。
 
もしお酒を飲ませている大人がいたら制止すること、このような事態を未然に防ぎ未成年者を守ることが、大人としての責任なのではないでしょうか。
 
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/

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