THライナー走行開始で脚光を浴びるか？埼玉東北部の謎帝国「久喜」

久喜駅。首都圏で働く人は、その名前を「急行 久喜行」など電車の行き先表示で見たことがあるかもしれません。しかし「久喜とはどんなところ？」と聞かれて、パッと答えられる人は、たとえ埼玉県民であっても少ないのではないでしょうか？
 
ところがその「久喜駅」が、今年6月の「THライナー（ティー・エイチ・ライナー）」の運行開始により注目されているのです。どんなところなのでしょうか？
 

今でも新宿や渋谷、東京、横浜にも乗り換えなし一直線

埼玉県久喜市。その実態はぼんやりにじんでいます。久喜市は周辺の栗橋町や菖蒲町を合併して、2010年に人口15万人の街として成立しました。なかなか大きな街です。埼玉東北部に版図を広げる「久喜帝国」といえます。
 
まず久喜駅では東武伊勢崎線（スカイツリーライン）とJR東北本線（宇都宮線～上野東京ライン・湘南新宿ライン）両方の駅が利用できます。
 
東武だと春日部、新越谷、北千住を経て半蔵門線に乗り入れ、大手町、渋谷を経て田園都市線方面に乗り入れます。JRですと、上野東京ラインで上野、東京、品川を経て、横浜方面に、また湘南新宿ラインで大宮、新宿を経て横浜方面へと行けます。しかも、駅が隣り合わせなので交通至便なのです。
 
しかし、その久喜駅東口を降りると、何とも言えない寂寥感がただよっています。西口はもう少し賑わっているものの、「久喜帝国の玄関口」とは言いづらい雰囲気です。
 
名物などはないかと探すと、東口の洋菓子店で「久喜クッキー」を見つけました。おいしかったのですが、大々的に有名という感じでもありません。駅前ビルもくすんでいます。むしろ、郊外の大きなショッピングモールのほうがキラキラしているかもしれません（モラージュ菖蒲など）。
 
そんな久喜駅に朗報が飛びこんで来たのが「THライナー」運行開始です。
 

北千住もすっ飛ばし、新越谷から上野までノンストップの座席指定列車登場

「THライナー」は、東武線・東京メトロ相互直通運転において導入される、初の座席指定制列車です。朝や夕夜間に久喜駅から東京メトロ日比谷線 恵比寿駅（下り列車は日比谷線 霞ケ関駅発）間で運行されます。各座席にはコンセントが用意され、ドリンク用のフックやWi-Fiが提供されるとのことです。
 
上りの停車駅は久喜駅、東武動物公園駅、春日部駅、せんげん台駅、新越谷駅、東京メトロに入って、上野駅、秋葉原駅、茅場町駅、銀座駅、霞ケ関駅、虎ノ門ヒルズ駅、神谷町駅、六本木駅、広尾駅、恵比寿駅。（下りは霞ケ関駅発になります）
 
ここでの驚きは、主要駅である北千住駅を飛ばすことです。新越谷駅から上野駅まで一駅ということになりますね。しかし、新越谷駅から上野駅までは20分程度かかりますがトイレは？　東武鉄道に聞くとTHライナーには原則トイレはないとのことです。そこはちょっと注意したほうがいいでしょう。
 

広め物件もリーズナブルな賃貸料

さて、こうして便利になる久喜駅。家賃はどうなのでしょうか？　大手賃貸住宅のサイトで、久喜駅から徒歩圏15分以内のアパート、マンションのひと月当たりの家賃を調べてみました。
 
(注)詳細な調査に基づくものではなく、あくまでも筆者の主観による感覚値であることをお断りしておきます。

■ワンルームと思われる賃貸物件

・18平方メートル程度　築年数が古くても良ければ3万円台から新しめの物件は5万円台（ひと月当たりの家賃:以下同）の物件が中心。
・30平方メートル程度　5～6万円台が中心。

■ファミリー向けと思われる賃貸物件

・50～60平方メートル程度　築年数の古いモノだと5～7万円台、新築だと8～10万円程度で見つかりそう。一戸建て貸家物件も散見される。
 
※バス便になるが「UR久喜青葉」もコストパフォーマンスよさそう。40平方メートル程度の2DK物件が3万円台で募集中。
 

まとめ

実は、久喜駅は現在でも交通の便がいいのですが、THライナーの登場で大きく脚光を浴びるかもしれません。始発の指定席でモバイル端末を使いながら都心まで通勤可能になります。2020年、埼玉の注目エリアではないでしょうか。
 
出典　■2020年6月6日（土）　東武鉄道・東京メトロダイヤ改正　東武線・日比谷線相互直通列車に初の座席指定制列車「THライナー」が誕生！（東京メトロ）
 
執筆者：藤木俊明
副業評論家