家賃「8万円」のペット可物件で猫を飼っています。壁紙に爪あとが残り、退去時に「全面張り替えで15万円」と言われました。全額負担しなければならないのでしょうか?
例えば、家賃8万円の部屋で「壁紙を全面張り替えるため15万円必要」と言われた場合、「ペット可なのだから大家さんが負担するのでは?」と思う人もいるでしょう。
一方、ペット可物件だからといって、ペットが付けた傷の修繕費をすべて貸主が負担するとは限りません。また、請求された15万円をそのまま全額支払う必要があるとも限りません。
本記事では、ペットが付けた傷の原状回復費用は誰が負担するのか、壁紙の張り替え費用を判断する際の考え方や、退去時に確認したいポイントを紹介します。
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目次
ペット可でも猫が付けた爪あとは借主負担になる可能性がある
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年変化や通常の使用によって発生した損耗の修繕費用は、原則として貸主側の負担とする考え方が示されています。
例えば、日光による壁紙の変色などは、普通に生活していても起こり得ます。一方、借主の故意や過失、通常の使用を超える使い方などで発生した傷や汚れについては、借主側が原状回復費用を負担するのが基本的な考え方です。
猫が壁で爪とぎをして傷を付けた場合は、通常使用による自然な劣化とは判断されず、借主負担になる可能性があります。「ペット可」はペットの飼育が認められているという意味であり、ペットによる損傷の修繕費まで免除されるとは限らない点に注意しましょう。
爪あとがあるからといって15万円を全額負担するとは限らない
借主に負担が生じるケースでも、「全面張り替え15万円だから15万円すべて借主負担」と単純に決まるとは限りません。
国土交通省のガイドラインでは、壁紙の借主負担について、㎡単位が望ましいとしつつ、傷を付けた箇所を含む一面分までは張り替え費用を借主負担としてもやむを得ないとしています。
また、壁紙については時間の経過による価値の減少を踏まえて借主の負担割合を考えるため、経過年数も重要です。壁紙については、ガイドライン上、6年で残存価値が1円となるような考え方が示されています。
例えば、入居した時点で新品だった壁紙にすぐ猫が傷を付けた場合と、長年使用されて交換時期が近づいた壁紙に傷を付けた場合では、同じように考えるのが適切とは限りません。
ただし、実際の負担額は契約内容や損傷状況などによって異なるため、「6年以上住めば必ず無料になる」という意味ではありません。
まず契約書と15万円の見積もりの内訳を確認しよう
退去時に15万円を請求されたら、すぐに支払うのではなく、まず賃貸借契約書を確認しましょう。特に確認したいのが、ペット飼育時の原状回復に関する特約です。
契約時に「ペットによる傷については借主が修繕費を負担する」といった特約が設けられている場合があります。ただし、特約があれば必ずその内容どおりに負担するとは限らず、その内容や合意の状況などによって判断されます。
次に、15万円の内訳も確認します。「壁紙全面張り替え15万円」だけでは、どの部屋のどの範囲を張り替えるのか、単価はいくらなのかが分かりません。爪あとが一部分だけなのに、なぜ部屋全体の張り替えが必要なのかも確認しましょう。
入居時に撮影した室内写真が残っている場合は、それも役立ちます。入居前から存在していた傷なのか、自分の入居後にできた傷なのかを判断する材料になるためです。
「ペット可=無料」でも「請求額=全額負担」でもない
猫が壁紙に付けた爪あとは、通常の使用による損耗とは認められず、借主が修繕費を負担する可能性があります。そのため、「ペット可物件なのだから一切払わなくてよい」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。
一方で、貸主や管理会社から15万円を請求されたからといって、その金額を無条件で全額負担しなければならないとも限りません。契約書の特約、壁紙の使用年数、傷の範囲、張り替えが必要な範囲、見積もりの内訳などを確認することが大切です。
説明を聞いても納得できない場合は、国土交通省の原状回復ガイドラインを確認したうえで、管理会社などに負担額の根拠を尋ねましょう。
退去時の原状回復は「新品に戻すための費用をすべて借主が払う」というものではありません。請求額だけを見て判断せず、契約内容と傷の状態を一つずつ確認することで、適切な負担額を判断しやすくなるでしょう。
出典
国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
