更新日: 2019.11.27 その他暮らし
災害が起きたら、その後の生活はどうなる? 転ばぬ先のつえとして、家計の資産をチェックしておこう!
ファイナンシャル・プラニングの観点で対策を練る場合、家計内では「収入」・「支出」・「資産」・「負債」の4つの項目のうち、「資産」に着目すると、災害対策が組み立てやすくなります。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
資産で見るべきポイントは「余力」
災害に遭った場合、家計簿内では、例えば、会社が被災し、給与が支払われないなどといった「収入の減少」や、被災時、もしくは、被災後の生活再建に向けて、一時的な支出が増えていくという「支出の増加」が発生しやすくなります。
そして、結果的に、収入から支出を差し引いた純利益、つまり、余るお金が減ることにつながります。ときとして家計は、一時的かもしれませんが、赤字に転落する可能性があります。
このとき、生活再建のために使うお金が通常、資産のうち、現金や預貯金から捻出されます。資産表においても、一時的に資産から負債を差し引いた純資産が減り、家計の体力が弱まる恐れがあります。
このようなお金の流れ(キャッシュフロー)は致し方ないことですが、私たちが考えておくべきポイントは、それでもなお、余分な資金があれば、災害を乗り切られる可能性が高まるという点です。
別の表現をすると、資産的な「余力」があれば、なおよいということですね。このため、わが家の災害対策を検討する際は、現時点での資産表、特に、資産項目がどのようになっているかをあらかじめ把握することが重要です。
災害対策における資産のチェック項目
資産の把握は、長い目で見ると、終活期における財産目録の作成にもつながる行為なので、時折、チェックをしておくといいかもしれません。
資産の項目としては、「現金」や「預貯金」だけでなく、「有価証券」、「保険」、「不動産」、「動産」といった類いに分けられますが、現金・預貯金は当面の生活再建のための準備にその多くが使われるでしょう。
また、有価証券類や保険については、運用や加入の目的によって異なりますが、即時、換金できるような商品であれば、それらも生活再建のために活用することができます。これらは、キャッシュであるため、まず、この総額がいくらぐらいかをチェックするようにしましょう。
そして、保険については、大きな分類としては、生命保険や損害保険がありますが、生命保険では、契約者に万一のことがあった場合に備えて、死亡保険金がいくらなのか、火災保険や家財保険、地震保険などの住居に関する補償についても、保険金がいくら下りるかを確認しておくとよいでしょう。
これらの確認とあわせて、事前にしておきたいのが建物の老朽具合を把握しておくことです。
これはお金だけの話ではありませんが、建物に傷んでいる箇所があれば、リフォームなどをし、前もって対策することができます。例えば、台風などによる風災で駐車場のカーポートが隣の家に落ちたなど、迷惑をかける心配を減らすことができます。
動産についても、例えば、自動車ですが、保険でいうと、自動車保険に車両保険を付けているかどうかで資金的な準備方法が変わるため、補償内容を事前に確認しておくことは必要です。
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まとめ
家計面での災害対策は、事前準備と事後の対応で分かれます。近々の課題としては、事前準備よりも事後対応の方が重要度は高いものの、転ばぬ先のつえとして、資金的な手当てもしっかりと整えておく必要があります。
人の記憶はいつまでも残るものでもありません。自然災害が毎年のように多発する今のような時代では、いつ、なんどき、自分の身に降りかかってくるかはわかりません。できることなら、わが家なりにできる、資金面での災害対策を、家族と話し合いながらしっかりと立てていくようにしましょう。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)