奨学金制度はひとつじゃない! 種類と自分に合った制度を調べる方法とは?
配信日: 2020.02.08
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
一番利用者が多い奨学金制度
今、全国の短大・大学・大学院の学生の半数近くが奨学金を利用しています。そのうちの多くが利用しているのが、国が日本学生支援機構(JASSO)を通して運営する奨学金制度です。
進学を考える時期に、通っている高校内でその制度について説明を受けたという方も多いかもしれませんね。
日本学生支援機構の奨学金には、以下のような種類があります。
<貸与型> お金を借りられるタイプ
大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人を対象としたものです。
・第一種奨学金……利用条件が厳しいが無利息で借りられる。
・第二種奨学金……利息が付くため第一種より返済の負担が大きくなるが、利用できる対象者が多い。
・入学時特別増額……第一種や第二種に追加して入学月の奨学金を一時金として増額できる。利息あり。
・海外留学の奨学金……日本国外の大学・大学院への進学や短期留学で利用できる。
<給付型> お金をもらえるタイプ
奨学金はお金を借りるというイメージが強いかもしれませんが、条件にあてはまる方なら返還する必要のない「給付型」の奨学金を利用できます。
2020年4月から新制度が始まり、従来よりも対象者も支給額も増え、対象者は大学・専門学校等の入学金や授業料の減免も併せて受けられるようになります。
日本学生支援機構だけじゃない! まだある奨学金制度
「奨学金=日本学生支援機構」と思われがちですが、実はその他にもたくさんの奨学金制度が存在しています。
2016年の調査によると、独自の奨学金制度を有する団体は地方自治体や各学校など5028団体にのぼり、制度数でいうと1万1000制度以上、利用学生数は55万人以上となっています。
■学校
学費が高額になりがちな私立大学を中心に、学生の生活を支えるための独自の制度を設けています。希望する進学先にそのような制度が用意されているか確認してみましょう。
■地方自治体
国の奨学金とは別に、都道府県や市区町村が独自で用意している公的な奨学金制度もあります。進学先の所在地ではなく保護者の現住所がそこにあることが要件になっている制度が多いです。
■法人など
「○○財団」「○○基金」「○○育英会」といった名前で、さまざまな民間企業、医療機関、慈善団体などが学生を支援しています。経済的に困窮している方だけではなく、犯罪被害者や交通遺児向け、演奏家や看護職など特定の職業を目指す学生向けなど種類が豊富です。
このうちの一部(約1700団体)は日本学生支援機構のホームページ内「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」というコーナーでまとめて検索できます。
貸与型だけでなく給付型の制度もありますし、日本学生支援機構の奨学金と併給できるものも多いです。
奨学金を上手に利用しよう
「うちはお金がないから」と勉強をあきらめるのは、子ども自身にとっても親にとっても心苦しくつらいことです。完全にあきらめてしまう前に、まずは利用できる奨学金制度がないかよく調べてみましょう。
制度ごとに対象となる方や、金額など各条件が違いますので、自分にぴったり合うものが見つかるかもしれませんよ。
また、日本学生支援機構のホームページには、進学した場合いくらくらいお金がかかるのかシミュレーションできる「進学資金シミュレーター」や、奨学金を借りて進学した場合に、卒業後毎月の返済額がわかる「奨学金貸与・返還シミュレーション」というコーナーがあります。
こういったものを活用して、計画的に利用しましょう。
(出典)
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)
日本学生支援機構「平成28年度 奨学事業に関する実態調査」
日本学生支援機構「平成28年度 学生生活調査」
文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表