ある日突然内容証明が送られてきた! このあとどうなっちゃう? 受け取りや回答の義務はあるの?
配信日: 2020.06.06
今回は、内容証明が送られてきた場合の対応について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
内容証明とは?
内容証明とは、郵便局が「誰が誰に対しどんな内容で出したのか」を証明してくれる手紙です。
配達証明といわれるオプションを付けることで、「いつ誰が誰にどんな内容で送り、それがいつ届いたか」を証明してくれます。そのため、裁判を起こす前のアクションとして用いられることも少なくありません。
内容証明は、お金の返済や相続、契約の解除など、お金が絡んでおり、かつ、話し合いが円滑に進んでいないような状況で利用されることが多くなっています。
内容証明を受け取ったらどうなるの?
仮に内容証明を受け取ったとしても、相手の言い分をすべて受け入れたことにはなりません。内容証明により発生する効果は、あくまでも「何月何日、どういった内容の手紙が、誰から誰に送られたか」を証明するだけだからです。
しかし、それが後日、裁判や話し合いの場において重要な証拠となり、相手の言い分が認められるようになることもあります。
例えば、内容証明によって相手がお金の返還を催告してきたり、損害賠償を請求してきたり、契約解除の申し込みをしてきたり、というような場合です。内容証明を受け取ってしまったら、まずは相手と記載内容を確認し、すぐに何らかの対応を考えるべきです。
内容証明に受け取りや回答の義務はあるの?
ある日突然、内容証明が届けられると、その様式や存在感などから驚いてしまうというのが多くの方から寄せられる感想です。とはいえ、内容証明には受け取りや回答が法的に義務付けられているわけではありません。
受け取りの拒否もできますし、受け取ったものの返事をしないまま放置することも可能です。
しかし、理由なく受け取りを拒否したり、深く考えずとりあえず回答してしまうことや、受け取ったものの放置するといったことは避けるようにしてください。知らぬ間に法的手続きの準備が進められていたり、相手の言い分を真実であると認めてしまったと判断されるおそれもあるからです。
よほど身に覚えのないものでない限り、受け取っておき、内容を確認しておくほうがよいでしょう。そのうえで、返答の内容や今後の対応について考えていくというのが理想的な流れです。
内容証明の受け取りを拒否したらどうなるの?
内容証明は受け取りを拒否することもできますが、状況次第では拒否しても内容証明が到達したとみなされることもあります。過去の判例では、次のような条件で内容証明が到達したとみなされた事例があります。
・内容証明を受け取ることができたのに、特別な事情なく受け取らなかったこと
・相手方が記載した内容を推測できたこと
要は、「受け取ることができたのに、嫌なことが書いてあると予想できたので、あえて受け取りませんでした」というような場合、「知らなかったと言い逃れはできませんよ」ということです。
内容証明は受け取らなければ絶対大丈夫と思わないようにしてください。むしろ、受け取らないことで、結果的に対応が遅れて不利になってしまうおそれもあります。
内容証明が届いたらまずは落ち着くことが重要
内容証明が届いたからといって、いきなり相手方の言い分がすべて認められるわけではありません。焦って間違った対応をしてしまうと、取り返しのつかない事態に発展する可能性もあります。まずは冷静に内容を確認し、少しでも不安に思ったら弁護士に相談するようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士