更新日: 2020.07.03 住宅ローン
住宅ローン 退職金で早期返済を考えよう!―45歳以上からの家の購入
そうではありません。退職金を住宅ローンの繰り上げ返済にあてて、45歳から50歳で住宅購入し、60歳の退職時点で「住宅ローンの残高なし」を実現する方法を考えてみましょう。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
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45歳の人が住宅を買う場合
例えば、あなたが現在45歳だとします。家族構成は、ご本人45歳給与生活者、妻40歳専業主婦、子供2人(15歳・ 12歳)、年収600万円。住宅購入価格は4500万円、頭金500万円、住宅ローン4000万円借り入れ。
借り入れの際のポイントは、【返済期間30年、当初15年間固定金利】でローンを組むことです。そうすると、ローンの完済年齢は75歳(通常、銀行の完済年齢は80歳以下)です。上記の条件で15年後、60歳の定年退職時に、退職金で住宅ローンを一括繰り上げ返済する場合のキャッシュフローを考えてみます。
現在は超低金利なので、当初固定金利15年で計画しても、年利1%強で借り入れることができます。今回はソニー銀行の住宅ローンの例をとり、年利1.066%で計算します。
この場合、以下のようになります。
年間返済額(元利均等払):155万8464円
融資手数料:86万4000円(ローン契約時支払)
15年後のローンの残額:2159万4809円
2159万4809円を一括繰り上げ返済すると、退職後には住宅ローンの返済義務なしの持ち家が手に入ることになります。
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これで、本当にうまくいくか、確認してみよう
上記の計画で抜け穴はないか確認してみましょう。
(1)完済年齢は75歳なので、通常のリミット80歳を下回ります。
(2)年間返済額:155万8464円は年収600万円の26%。金融機関の融資限度額は35~40%といわれているので、26%ならまず問題ないと思われます。
(3)団体信用生命保険料は金利1.066%に含まれています。
もし、健康問題で団体信用生命保険に加入できない人は、保険会社が認めればワイド団信に加入することができます。
ワイド団信は返済金利に0.2~0.3%上乗せすると、糖尿病、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中、うつ病、緑内障等の既往症のある方でも入れる保険です。これに入れれば、健康状態に問題のある方でもローンを組める可能性があります。
ワイド団信に対応している金融機関は、ソニー銀行、auじぶん銀行、りそな銀行や、みずほ銀行、横浜銀行などがあります。ソニー銀行、auじぶん銀行、りそな銀行の3社は、クレディアグリコル生命、みずほ銀行は損保ジャパン日本興和ひまわり生命、横浜銀行はカーディフ生命と提携しています。
もし、審査がうまくいかないときは、別の保険会社と提携している銀行に照会することもできます。
(4)購入時点で必要な金額は、700万円から800万円弱です。
頭金:500万円、諸費用200万円から300万円弱(融資手数料86万4000円、登記・抵当権設定費用、不動産取得税・登録免許税、印紙税、引っ越し費用、家具の買い足し費用など)
ですから、15年後に退職金が2200万円以上もらえるか、退職金に加えて一括返済にあてられる預貯金があれば、この計画は実現します。もし、購入時または一括返済時に資金が不足するときは、家の購入価格を下げることで調整することも可能です。
もう1つ、忘れてはならないものは?
返済期間中の費用を軽減するものとして、「住宅ローン控除」があります。現在の制度では、借り入れから10年間、住宅ローン年末残高の合計額の1%に相当する税額が還付されます。
借り入れ金利が年利1.066%ですから、ほぼ金利がゼロになる効果があります。上記の例で、住宅ローン控除の効果を試算すると約297万円になります。
2019年の税制改正では、住宅ローン控除の適用年数を10年から15年に延長することを検討しているようです。これが実現すれば、上記の条件で試算すると、約120万円の税金が追加で還付されることになります。
これは、2019年10月1日の消費増税を踏まえて考えられているものですが、税制改正は通常4月なので、先行して税制改正がなされる可能性もあります。もし、この税制改正が実現すれば、住宅購入の後押しになることは間違いありません。
あなたがもうすぐ50歳なら
あなたがもうすぐ50歳で年収600万円なら、退職金負担を軽減するため、家の購入価格を500万円下げてみましょう。住宅購入価格は4000万円、頭金500万円、住宅ローン3500万円借り入れ、返済期間30年、当初10年間固定金利でローンを組みます。
そうすると、ローンの完済年齢は80歳。10年後、60歳で会社を定年退職し、退職金で住宅ローンを繰り上げ返済する場合、年利0.68%(ソニー銀行)で計算すると、年間返済額(元利均等)は129万36円となり、10年後のローンの残額は2411万円6826円になります。
もし、住宅購入価格:4500万円、住宅ローン金額:4000万円借り入れであれば、10年後の一括返済額は2756万2171円となります。
まとめ
今回、お伝えしてきたように、45歳から50歳の年齢でも家を買うのに決して遅いことはありません。住宅ローンの完済年齢は80歳に設定されています。
また、超低金利の状況をうまく利用することで、家の購入は十分可能になるのです。家の購入には、いろいろな要素が絡み合っているので、簡単にあきらめてしまう必要はありません。考えあぐねたら、専門家に相談することをおすすめします。
出典:国税庁タックスアンサーNo.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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