更新日: 2020.11.28 その他ローン
ローンの支払いに困窮……自己破産したらいったいどうなる?
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
自己破産(※1)とは?
自己破産とは、借りているお金を返せなくなったときに裁判所に申し立てをして行う、破産手続きのことです。破産手続きをすると、免責許可の申し立ても同時にしたことになります。裁判所で免責を許可されると、今まで抱えていたローンはすべてなくなります。
借金を帳消しにする強力な手段ですが、ギャンブルや浪費などが原因の場合など、申し立てをしても裁判官に認めてもらえないケースもあります。
また、単に借金がなくなるだけではありません。自分の持っている預貯金や家、車、将来の退職金などあらゆる財産をお金に換えて、借りていた金融機関にそれぞれに分配して清算します(生活に最低限必要な現金や家財道具などは手元に残せます)。
財産も借金もないまっさらな状態に強制的に戻して、破綻してしまった生活の立て直しを図るための制度です。
自己破産するとどうなる?
自己破産する=借金も財産もなくなるというのが大きな特徴ですが、その他に自己破産の影響を受ける事柄についても知っておきましょう。
■官報に名前が載る
官報とは、内閣府が毎日発行している書面で国民なら誰でも見ることができます。自己破産すると、ここに名前と住所が掲載されます。
■信用情報に傷が付く
信用情報とはローンの申込状況や返済歴などのことです。各金融機関は「信用情報機関」を通じて自社のローンを申し込んできた人の信用情報を照会できます。自己破産の記録は基本的に5年、最大10年にわたって残ります(※2)。
その記録があると金融機関の審査に通過しにくいため、新しくローンを借りたりクレジットカードを作ったりしたいと思ってもできない可能性が高くなります。
■一部の職業に就けない期間ができる
「公私法上の資格制限」といって、免責許可決定が出るまでのあいだ、弁護士・公認会計士・税理士・司法書士・後見人・保険外交員・警備員・株式会社や有限会社の取締役などになることができません。
自己破産するには?
自己破産にはメリットだけでなく、前述のようなデメリットもあります。それを踏まえたうえで、自己破産を選択したいと思った場合、次のような手続きをします。
・何をする?……破産手続き開始・免責許可の申し立て
・どうやって?……申立書(ダウンロード可)に所定の添付書類をつけて提出
・どこに?……現住所を管轄する地方裁判所
・いくら?……申立手数料1500円、郵送料82円、官報広告料1万584円など。要確認
・誰が?……自分ですることもできるが、弁護士や司法書士に頼む人も
自己破産について悩んだときは、法律関連のトラブル解消のために国が設置している「法テラス(日本司法支援センター)(※3)」や自治体が運営する法律相談の窓口などを利用すれば無料で教えてもらうこともできます。
自己破産を検討するならデメリットも知っておこう
自己破産をすれば今まで頭を悩ませてきた借金がなくなります。負担が軽くなるメリットはありますが、そのぶん手続きの手間や今後の生活に影響を与える可能性があるというデメリットもあります。
また、債務に保証人がついている場合、債権者(金融機関)は保証人に対して返済を求めることになります。債権者は、借主が返済できなくなったときに備えて保証人を確保しているのですから、保証人へ請求しないようにさせることはほぼ不可能です。
それらを天秤にかけてほかの方法とも比較して、家計の見直しにも取り組んだうえで、どうしても解決が難しければ「最後の砦」として選択もあります。
(※1)
法テラス「Q.自己破産とは何ですか?」
知るぽると「自己破産とは」
裁判所「Q1.破産とは、どのような制度ですか。」
(※2)
CIC「信用情報の保有期間」
JICC「登録内容と登録期間」
全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センター」
(※3)
法テラス「借金・貸付」
(出典)
裁判所「破産手続きに関するQ&A」
裁判所「自己破産申立について」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表