執筆者: 澤邉大樹
看護師は人手不足であることから、求人がなくて転職に困るということはないでしょう。しかし、求人数が多すぎることで、何を基準にして選べばよいのか迷うという方が多いと聞きます。今回は、転職のときに看護師が求める条件とはなにか、優先順位を決めるときのポイントなどを詳しく解説します。
目次
看護師が求める転職の条件5つ
看護師が転職を考えるときに、優先順位として挙げるものには何があるのでしょうか。この見出しでは、看護師が求める転職の条件を5つ紹介します。
お給料
お給料は、基本給が〇〇円以上、賞与は〇か月分、法定の残業・夜勤手当がつくかどうかなど数字がはっきりと分かるところです。そのため、自分のなかで基準を決めやすく、お給料を優先順位にして求人情報をチェックする方が多くいます。
また、お給料は少し低いけれど、他の条件がピッタリという求人の場合も、勤続年数によってはそれを武器にして交渉をすることも可能です。転職サイトに会員登録していてサポートが受けられるようであれば、コンサルタントに相談をしてみるのもよいかもしれません。
人間関係
看護師が転職を考える理由のひとつに、よく挙げられるのが職場内の人間関係です。仕事ができない後輩に対してイライラするといったものから、看護師長が高圧的で働きにくい、独身を理由に時間外業務を無理強いさせられるなどのハラスメントに近いものまで理由は人によってさまざまなものがあります。
職場内のストレスは、同僚と愚痴を言ったり、上司に相談できる現場であれば相談したりと、それぞれが自分に合った方法で発散を試みると思います。ですが、それでもどうにもならないときもあるでしょう。そのため、次の職場は人間関係がよいところを希望する看護師が多くいます。
雇用形態
看護師の雇用形態は、正社員(常勤)や派遣社員、アルバイトなどの雇用形態があります。日勤のみがよいのか、夜勤でもしっかりと働きたいのか、シフト勤務を希望しているのかなど、ご自身の働き方に合わせて転職先の雇用形態を優先順位にする看護師が多くいます。
◆正社員(常勤)
正社員(常勤)は、就業先に正規雇用されて働く雇用形態です。アルバイトなどとは異なり、雇用期間に一定の期間がなくボーナスや退職金・社会保険や福利厚生など待遇がよいことが特徴として挙げられます。
しかし、2交代制や3交代制、不規則な勤務体系など精神的な負荷も多いのも事実。そのため、結婚など環境が変わるタイミングで離職を考える方も多いと言われています。
◆派遣社員
派遣社員は、人材紹介・派遣サービスを提供している会社に登録し、その会社のスタッフとして就業先に派遣されます。そのため、お給料や社会保険、福利厚生などは派遣元の会社から受けられます。
しかし、看護師の派遣は、労働者派遣法により「原則禁止」です。例外として認められるケースとして、産育休代替派遣と紹介予定派遣の2種類があります。
産育休代替派遣は、産休・育休など一定期間休みを取っている看護師の代わりに働く派遣社員のこと。半年や1年など期間があらかじめ決められていることが多いです。 紹介予定派遣は、一定期間就業した後に直接雇用に移行する契約のことです。なお、特別養護老人ホームや障害者支援施設などの、医療行為をしない施設においては看護師派遣が認められています。
◆バイト・パート
バイトやパートは、広義として正社員(常勤)以外の働き方にあたるとされています。看護師も短時間勤務のことをバイトと言ったり、非常勤として直接雇用されることをパートと言ったりと職場によってさまざまな解釈があるようです。
結婚や出産後などでライフスタイルが変わり、空いている時間を有効活用したいと考える方に向いている働き方だと言えます。
仕事内容
看護師にはさまざまな働き方があります。就業先によっては前職とは異なる仕事内容になることも多く、今までとは異なる仕事内容で働きたいと考える方もいるでしょう。また、反対に同じ働き方でスキルアップを望んでいる方もいるなど、仕事内容の優先順位の考え方はその人によってさまざまです。
病院ひとつとっても、総合病院や大学病院など規模の大きいところと、クリニックや診療所では仕事内容も変わってくるでしょう。また、医療分野から介護分野・企業や保育園など他職種に転職することでも、大きく仕事内容は変わってきます。このように、希望する仕事内容を優先にして、転職先を探す看護師も多くいます。
勤務時間・休み関係
日勤のみか、夜勤もあるのか、土日休みはあるのかなど優先順位に勤務時間や休みを挙げる看護師は多くいます。プライベートと仕事の両立を考えている方や、ワークライフバランスを考えている方は、勤務時間や休みを優先順位として挙げるでしょう。
優先順位の決め方を知っておこう
自分にとって理想の職場を探すために、ついつい優先順位をたくさん挙げてしまう方が多くいます。しかし、優先順位を決めるときは、気をつけるべきポイントもありますのでしっかりと抑えておきましょう。
希望条件のハードルを高くしすぎないこと
お給料が高くて土日が休み、夜勤がないところなど、できるだけ多くの理想の条件を転職先に求めたくなってしまう気持ちは分かります。しかし、理想を求めてハードルを上げすぎてしまうと、仕事を探すのが困難になります。
優先順位がたくさんあるという方は、そのなかから条件を3つくらいまでに絞りましょう。そうすれば、ハードルが上がりすぎることもなくなるため、希望する職場が見つかりやすくなります。
譲れない条件・妥協できる条件をしっかり切り分けること
転職先に求める優先順位は、「絶対に譲れない条件」と、「求人内容によっては妥協してもよい条件」の2つに分けてください。全部の条件を絶対に譲れないとしてしまうと、求人先が思うように見つからなくなる恐れがあります。
「絶対に譲れない条件」を明確にすることで転職先を探しやすくなるというメリットもあります。もし、優先順位を思うようにまとめられないという方は、チェックシートを作ってみるとよいかもしれません。
転職先に求める条件を思いつく限り書いて、ひとつひとつ精査していくことで、自分が本当に求める優先順位を知ることができるでしょう。
転職の条件に優先順位を決める重要性
看護師が転職を考える理由には、職場内の人間関係や仕事のストレス、お給料や休みといった境遇面での不満などさまざまなものがあります。転職を考えている方は、当然ながら現在の職場とは異なる条件を転職先に求めているはずです。時間をかけて転職活動を行うのですから、条件がよいところで働きたいと考えるのは誰だって同じです。
だからこそ、しっかりとご自身で優先順位を決めることがとても重要になります。自分の希望する条件がすべてそろっているところは、現実的に考えても探すのが困難であることは、前の見出しでもお伝えしました。ですので、優先順位は譲れない条件・妥協できる条件をはっきりと決めて求人を探しましょう。
条件に優先順位をつけるメリット
転職先を探すときに、条件に優先順位をつけることで転職活動を効率的に行うことができるというメリットがあります。優先順位がたくさんある状態で仕事を探し続けると、「今は希望する条件がヒットしないだけで、待っていればいつか理想の求人が来るはず。」と、転職活動もダラダラしがちに。
こんなことを続けていると、転職活動にかける労力も時間ももったいないため、必ず希望条件には優先順位をつけてください。また、優先順位をつけることで転職の満足度が高くなるというメリットもあります。譲れない条件で転職に成功できれば、転職してよかったと感じやすくなるでしょう。
好条件の転職先を探すポイント
好条件の転職先を探すには、自分の軸を持つことが重要なポイントになります。現状どんな不満があって転職したいと思っているのかを考えてみてください。この軸をしっかりと決めれば、転職した後に同じ不満を抱いて、転職を繰り返すといったミスを防ぐことができます。
やり方はとてもかんたんです。絶対に改善したい条件を「Must」、改善されればうれしいという条件を「Better」の2つに分けて不満を整理するだけです。
譲れない条件が多すぎるという方や、優先順位が分からないという方は、転職先に求める条件を決める前に、まずは現状の不満を整理してみましょう。そうすれば、おのずと求める条件の優先順位も分かってくるはずです。
看護師の転職活動成功のポイントは優先順位を決めること!
看護師が次の転職先に求める優先順位で多いのはなにか、優先順位の重要性やメリットなどを解説しました。職場を辞めたいと思ったときに、次の職場に求める条件はたくさんあるかもしれません。ですが、転職活動を円滑に進めるためにも、優先順位は真剣に考えましょう。
監修:澤邉大樹
キャリアコンサルタント、社会調査士
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