公開日: 2020.01.08 老後

親の介護で仕事を辞めてはいけない理由と、知っておきたい介護支援のしくみとは

執筆者 : 新美昌也

日本人の平均寿命は、男性81.25歳、女性 87.32歳(厚生労働省「平成30年簡易生命表」)です。全国に100歳以上の高齢者は7万人います。長生きは喜ばしいことですが、介護のリスクも高まってきます。
 
要介護になる確率は75歳ぐらいから高まり、85歳以上では2人に1人が要介護認定を受けています。もし、親に介護が必要になったら、仕事を続けながら介護をしますか、それとも仕事を辞めますか。
 
現在、介護離職をする人は年間約10万人います。でも、考えてみてください。介護はいつか終わります。その後のあなたの生活は成り立ちますか。介護離職を後悔する人は少なくありません。仕事を続けながら介護をするための制度等を知り、活用しましょう。
 
 
新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

詳細はこちら
新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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親の介護で仕事を辞めてはいけない理由

介護離職してしまうと、介護が終わったあと再就職をしようと思っても再就職先を見つけるのは困難です。運よく再就職先が見つかっても、一般的に収入は激減します。そうすると、あなたの人生設計が成り立たなくなります。
 
総務省の調査によると、介護離職者のうち再就職できた人は43.8%で、半数以上が再就職できていません。また、正社員に転職できたのは、男性は3人に1人、女性は5人に1人です(明治安田生活福祉研究所「仕事と介護の両立と介護離職」)。転職前後の年収を比較すると、男性は556万円から341万円、女性は350万円から175万円と大幅に減っています(同調査)。
 
このように、介護離職をすると、再就職が難しいだけではなく、経済的にもかなり苦しくなります。
 
さらに、介護は、精神的にも肉体的にも負担になります。介護を頑張りすぎるほど肉体的にも精神的にもストレスを感じ、「介護うつ」や最悪の場合、「介護殺人」に発展することもあります。
 
「仕事と介護の両立」を支援する制度等を有効に活用し、仕事を続けることで、ある意味、気分転換にもなりますし、介護が終わったあとの自分自身の人生の経済的基盤を確保できます。
 
親の介護で仕事を辞める前に、介護保険サービスの利用方法、「介護休業」や「介護休暇」など「仕事と介護の両立」を支援する制度等の利用を検討し実行しましょう。
 

介護保険サービスを上手に利用する

親の介護のことが気になりだしたら、早めに親の住む地域を担当する地域包括支援センターに相談しましょう。地域包括支援センターは高齢者のよろず相談所で、介護・福祉・医療・健康のことなどの相談ができます。介護保険の利用の仕方なども教えてもらえます。
 
介護保険サービスを利用するには、役所の介護保険課や地域包括センターに要介護(要支援)認定を受けるための認定申請をする必要があります。
 
65歳になると、自動的に第1号被保険者となり、被保険者証が送付されてきますが、被保険者証を持っているだけでは介護サービスを受けることができません。介護サービスを利用するには、必ず、要介護(要支援)認定を受ける必要があります。
 
申請は、介護を希望する本人だけではなく家族などもできます。申請をすると、自宅などに訪問調査員が訪ねてきて、訪問調査を行い、この結果と主治医意見書により介護認定審査会にて総合的に判断され、要介護度が決まります。
 
原則、申請受付日から30日以内に認定結果の通知が行われます。認定結果は、軽い順から、非該当(自立)、要支援1・2、要介護1~5となっています。要介護認定が下りたら、サービス事業者と契約し、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいてサービスを利用します。
 
介護保険サービスには、在宅サービスや施設サービスがあります。
 
在宅サービスには、ホームヘルパーが自宅を訪問して身体介護や生活援助などを行う「ホームヘルプサービス」や、日帰りでデイサービスセンター等に通い、介護・機能訓練・レクリエーションなどを受ける「デイサービス」、特別養護老人ホームなどに短期間泊まる「ショートステイ」「福祉用具レンタル」「住宅改修」などがあります。
 
利用者はこれらのサービスを自己負担1割(65歳以上は1~3割)で利用できます。なお、要介護度に応じた利用限度額や利用できるサービスの制限があります。
 
詳しくは市区町村で発行している介護保険のパンフレットで確認してください。パンフレットには、介護保険制度の仕組みや、サービスの内容および利用方法、料金、負担軽減などについて書かれています。また、自治体独自の高齢者福祉サービスも調べておくと良いでしょう。
 

両立支援制度を活用する

育児・介護休業法では、まず、「介護休暇」と「介護休業」を知っておきましょう。アルバイトやパートなども、同一事業所に1年以上続けて雇用されているなどの条件を満たせば適用されます。
 
「介護休業」は、要介護状態にある対象家族1人につき通算93日まで3回を上限に分割して取得できます。介護休業開始予定日の2 週間前までに書面等により事業主に申し出る必要があります。仕事と介護を両立させるための体制を整えるための期間や、介護サービスを受けるための準備期間として利用すると良いでしょう。
 
介護休業中、会社から給与が支払われない場合、申請により、雇用保険から原則として介護休業開始前賃金の67%の「介護休業給付金」が支給されます。
 
「介護休暇」は、要介護状態にある対象家族1人に対し年5日まで(2人以上で10日まで)、1日または半日を単位として取得できます。入院などの付き添いに利用できます。介護休暇の取得は緊急を要することも多いため、当日の電話等による口頭の申し出でもかまいません。
 
その他、「所定労働時間の短縮等の措置」「所定外労働の制限」なども定められています。
 

職場の理解を得る

職場の理解を得ることが最も大切です。介護が始まると休む回数も増えます。部署内での仕事の調整も必要です。職場の理解なしには、仕事と介護の両立は行き詰まるでしょう。同時に会社にどのような両立支援制度があるのかも調べておきましょう。
 
とはいえ、現実の問題として、この職場の理解を得るということが最もハードルが高いかもしれません。しかし、ひとりで悩んでいても解決しません。思い切って早めに上司などに相談することをお勧めします。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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