必ずやってくる老後 シングルマザー/ファザーの老後資金対策とは?
配信日: 2018.02.19 更新日: 2019.01.11
では、もし老後資金を作ると児童扶養手当が増えるなら、老後資金対策を始める気持ちになりませんか? iDeCoなら老後資金作りを始めると児童扶養手当が増えるかもしれません。
Text:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
児童扶養手当とiDeCoの関係
児童扶養手当は、1人親世帯等の生活の安定のために支給される手当です。
所得制限がありますので、本人の所得が制限額を超えると児童扶養手当は支給されませんし、制限額以内でも所得が増えれば支給額は減ります。つまり、所得が少ないほど、児童扶養手当の額は多くなるというわけです。
ということは、児童扶養手当を増やすなら、所得額を減らせばよいのです。その所得額を減らす方法の1つがiDeCoです。iDeCoは掛け金全額を所得控除できますので、児童扶養手当を計算する際の所得額に影響を与えます。
iDeCoで児童扶養手当はいくら増えるか
例えば、親の年収が400万円で児童扶養手当支給対象となる子どもは2人の3人家族だとします。すると、平成29年度の児童扶養手当を計算すると月額1万7140円です。では、毎月iDeCoで1万円を積み立てるとします。児童扶養手当の金額はいくらに変化するでしょうか。この場合、1万9720円になります。
なお、計算するにあたり、養育費が計算項目に入りますが、養育費をもらっている人は少数派である現実を考え、養育費はゼロとして計算します。所得控除についても、iDeCo分の所得控除以外は計算に含んでおりません。
iDeCoを始めることで、児童扶養手当は約2500円増えました。大きくは増えませんが確実に増えています。しかし、iDeCoの効果はこれだけではありません。所得税、住民税の削減にも効果を発揮します。所得税5%、住民税10%とすると、掛金に対して合計15%の節税ができます。
毎月1万円を積み立てますので1万円× 15%=1500円の節税につながります。児童扶養手当が2500円増え、節税額が1500円なので、家計にとっては月額約4000円のプラスです。iDeCoで毎月1万円支出が増えるとはいえ、プラス分を差し引くと、実質の支出額は6000円ということです。
iDeCoではじめる家計改善
子どもの教育費や毎日の生活を考えると、自分自身にお金を使う余裕などないかもしれません。
しかしiDeCoの支出は自分の老後への仕送りです。単なる出費ではありませんし、運用することで増やすことも可能でしょう。老後の準備ができていないと、子どもに仕送りをしてもらうことになるなど、子どもの生活に影響を与えてしまうかもしれません。
自分のため、子どものため、家計改善策の1つとしてiDeCoを検討してみてはいかがでしょうか。
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者