更新日: 2019.10.25 その他老後

60歳からの年金生活。働き続ける場合に知っておきたい、「高年齢雇用継続給付」とは?

執筆者 : 林智慮

60歳からの年金生活。働き続ける場合に知っておきたい、「高年齢雇用継続給付」とは?
60歳で定年を迎えて再就職する場合、給与が大きく下がってしまう場合があります。
 
しかし、雇用保険に5年以上の加入期間のある方が60歳で定年退職し再就職して、再就職後の賃金が60歳時の75%未満になってしまった場合、最高で賃金の15%に当たる額が支払われる制度があります。これが「高年齢雇用継続給付」です。
 
給与の減額を塡補するものですが、支給を受けると、年金の受け取りが減ってしまうことがあります。
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

離職後1年以内に再就職すれば、高年齢雇用継続給付金を受け取れる

60歳以上の高齢者の雇用継続を推進するための制度が、高年齢雇用継続給付金です。高年齢雇用継続基本給付金とは、5年以上雇用保険に加入していた人が継続雇用をせず、基本手当ももらうことなく再就職したときに受けられます。
 
60歳以上65歳未満の賃金が、60歳時点の賃金の75%未満になった時に、60歳以上65歳未満の賃金の15%を上限に65歳まで支給されます。
 
また、賃金が進級限度額を超えたら高年齢雇用継続給付金は支払われません。令和元年の支給限度額は36万3359円。この限度額は毎年8月に改定され、毎年8月1日から適用されています。
 
60歳以上の高齢者が退職後、雇用保険の休職者給付の「基本手当」を受給してから就職した場合に受給できるのが「高年齢再就職給付金」です。再就職した日の前の日における基本手当の支給残日数が100日以上あることが必要です。
 
残日数が100日以上200日未満の場合、再就職した日の翌日から1年間、200日以上の場合は2年間、高年齢再就職給付金の支給が受けられます。
 

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高年齢雇用継続給付を受け取ると年金が減る

高年齢雇用継続給付は再雇用による収入減をカバーするありがたい制度ですが、受給する場合、在職による年金の支給調整に加えて、年金の一部が支給停止になります。概要は以下の図のとおりです。
 

(日本年金機構ホームページより引用)
 
具体的な併給調整は、標準報酬月額が60歳になったときの賃金月額の61%以下の場合、標準報酬月額の6%相当額の年金が支給停止されます。標準報酬月額が、61%を超え75%未満の場合、6%から徐々に減額する率の年金が停止されます。
 
「60歳到達時の賃金月額」に対する「標準報酬月額」の割合に応じた年金の支給停止率 早見表

(厚生労働省ホームページより引用)
 
標準報酬月額が、60歳当達時も賃金月額の75%以上である場合、または標準報酬月額が高年齢雇用継続給付の支給限度額(令和元年6月1日:36万169円)以上の場合は、高年齢雇用掲示区給付が支給されないため併給調整はされません。
 
高年齢雇用継続給付は、賃金月額に対しての給付です。賞与を含まない標準報酬月額で年金の調整がされます。その月以前の1年間の賞与額を12で割った金額は含みません。
 

高年齢雇用継続給付を受け取る時の注意事項

高年齢雇用継続給付は、「賃金月額」に対して支給されます。賞与を含まない「標準報酬月額」を対象として年金の調整がされます。高年齢再就職給付金は、前に失業給付をもらっていても要件を満たせば受け取れますが、再就職手当との併給はできません。
 
高年齢雇用継続給付は、それぞれの月に実際に支払われた賃金と、60歳時の賃金との低下割合によって、雇用保険給付情報により支給停止解除・再停止が行われます。
初回の申請は、申請しようとする月の初日から4ヶ月以内に行えますが、2回目以降は申請月が指定されます。
 
高年齢雇用継続給付は65歳までの制度です。
・退職した
・65歳に到達した
・高年齢雇用継続給付金の支給申請を行わなかった月以降、高年齢雇用継続給付金の不支給決定等の雇用情報が提供された

 
上記いずれかに該当した場合は、一部支給停止が解除になり、高年齢雇用継続給付金の支給申請を行わなかった期間の老齢年金が支払われます。
 
高年齢雇用継続給付金は「働く意思のある60歳~65歳の人」が失業し再就職したときに、賃金の低下分を補てんするものです。足りない分を補うよりも年金が削られること自体が損に思えますが、年金保険は働けなくなったときの老後の生活を支えるものです。収入があっても足りない分をさらに年金で補てんします。
 
厚生年金保険加入の会社に勤務する場合、70歳未満の方は厚生年金保険に加入しなければなりません。しかし、働いた分、将来の年金に反映されます。
 
<引用>
日本年金機構「雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整 支給停止の基本的な仕組み」
厚生労働省「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」
<参照>
厚生労働省「雇用保険と年金の併給調整について」
厚生労働省「令和元年8月1日から支給限度額等が変更になります。皆さまへの給付額が変わる場合があります。」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者