65歳以降も働く場合、年金を繰り下げ受給した方がいい? 

配信日: 2019.10.30

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65歳以降も働く場合、年金を繰り下げ受給した方がいい? 
65歳になると、原則、年金支給が始まります。しかし、必ずしも65歳で受け取る必要はなく、60歳から繰り上げて受給でき、また65歳より後に繰り下げての受給ができます。60歳から70歳の範囲で受ける時期を自分で選べるのです。
 
年金をもらいながら働く場合、収入が多いと年金が支給停止になることもあります。だったら70歳まで繰り下げれば得なのでしょうか?
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

繰り下げすると、年金は増える?

65歳になると、原則、年金支給が始まります。しかし、65歳になったとたん勝手に振り込まれるのではありません。自分で年金請求の手続きをして開始します。
 
66歳に達した日以降、年金の繰り下げを請求できます。ただし、65歳~66歳までの間に、障害厚生年金や遺族厚生年金など、ほかの年金を受け取ることになった場合は、繰り下げはできません。
 
66歳に達した日以降に障害厚生年金や遺族厚生年金の受け取りが発生した場合は、その発生した日を基準に増額が計算されます。
 
ところで、65歳前に特別支給の老齢厚生年金を受けていた人は、繰り下げができないのでしょうか? この場合は、65歳になると老齢厚生年金・老齢基礎年金となるため、繰り下げができます。
 

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在職老齢年金を繰り下げしても、受け取ったものとした金額で計算される

繰り下げで加算される金額は、原則、65歳時点の老齢厚生年金金額を基準にして、申し出た繰り下げの時期に応じて計算されます。
 
繰り下げ加算額 =(繰り下げ対象額+経過的加算額)× 増額率
 
増額率は「繰り下げ月数×0.7%」で求められます。請求時の年齢と増額率は以下の表のとおりです。
 

 
増額された金額が一生涯続きます(70歳以降に繰り下げしても、70歳時の増額率です)。繰り上げ対象額は65歳時点の老齢厚生年金額ですが、65歳以降に厚生年金の被保険者だった方の場合は、その被保険者であった期間に在職老齢年金として支給されたであろう(調整を受けた)金額です。
 
つまり、繰り下げて年金を受け取らないから調整前の金額で計算されるのではなく、本来受け取る予定の「在職老齢年金」を受け取った場合の年金額で計算されます。
 
受け取っても受け取らなくても繰り下げ対象額は変わりませんが、繰り下げ期間が長い分、つまり受け取らない期間が長い分、増額率が大きくなります。
 

老齢厚生年金を繰り下げ請求する時に注意すること

■老齢年金を受け取る権利が発生してから1年経過した日以降に、繰り下げ請求ができます。65以降に年金を受給できる要件を満たした場合、その時点から1年後です。
 
■老齢基礎年金、老齢厚生年金は、同時に受給する必要はありません。それぞれ支払いを希望する時期に手続きします。
 
■繰り下げできるのは、他の年金を受け取る権利が発生するまでの間です。ただし、65歳から66歳より前に他の年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金等)を受け取る権利が発生したら、繰り下げはできません。
 
■66歳より後に他の年金の受け取る権利が発生したら、すみやかに年金請求をします。他の年金を受け取る権利が発生した時点で増額率が固定されます。繰り下げによる年金は、請求された月の翌月から支給されます。「繰り下げによる増額請求」「増額のない年金をさかのぼって受給」を選択できます。
 
ただし、年金を受ける権利が発生してから5年を経過すると時効となるため、70歳の誕生日前日の月より後に65歳時までさかのぼった請求が行われると、時効になり支払われない部分が発生します。
 
■加算額は、繰り下げしても増えませんし、繰り下げ待機期間中は加算額のみを受け取ることはできません。
 
(引用、参照)
日本年金機構「老齢厚生年金の繰下げ受給」
日本年金機構「Q.老齢基礎年金と老齢厚生年金については、同時に繰り下げの申出を行わないとならないのですか。」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者


 

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